建設業と他の事業を兼業している事業者が、建設業許可の取得を検討するケースが増えています。不動産業や製造業、運送業などを本業としながら建設工事を請け負う場合でも、一定規模以上の工事を行うためには建設業許可が必要です。ここでは、兼業者が許可を取得する際に押さえておくべきポイントについて整理します。

1.経営業務の管理責任者(経管)の常勤性

建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者(経管)が主たる営業所に常勤していることが求められます。兼業者にとって特に注意が必要なのは、この常勤性の証明です。経管は申請会社に常勤している必要があるため、他の会社の代表取締役を兼務している場合や、他業種で専任が求められる役職に就いている場合には、常勤性を否定されることがあります。複数の事業を運営している場合は、建設業の営業所において日常的に業務に従事していることを明確に証明できる体制を整えておくことが重要です。

2.確定申告書における経営経験の扱い

個人事業主として兼業している場合は、確定申告書の内容にも注意が必要です。確定申告書において給与所得が記載されていると、建設業は副業と判断され、その期間は経営業務管理責任者の経営経験としてカウントされない可能性があります。たとえば個人事業主として5年間の経験があっても、そのうち数年間に給与所得がある場合は、経験年数が不足すると判断されることがあります。経管の要件を満たすためには、建設業を主たる事業として営んでいた期間を明確にしておくことが求められます。なお、この取扱いは行政庁によって判断が異なる場合があるため、事前に管轄の窓口に確認しておくことが望ましいです。

3.営業所の独立性

兼業者が許可を取得する場合、営業所の独立性についても確認が必要です。建設業の営業所は、他の事業と明確に区分された独立性のある空間であることが求められます。自社の他の事業と同じ場所であっても、建設業としての事務機能を有し、外部から建設業の営業所であることが分かる状態であることが条件となります。

4.財産的基礎の確認

財産的基礎の要件として、一般建設業許可の場合は次のいずれかを満たす必要があります。直前の決算において自己資本(純資産)の額が500万円以上であること、または500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の預金残高証明書等で証明)のいずれかです。兼業者の場合、建設業以外の事業も含めた決算書の内容が審査されるため、自己資本額が基準を満たしているかどうかを事前に確認しておく必要があります。自己資本が基準に満たない場合でも、預金残高証明書により資金調達能力を証明できれば要件をクリアすることが可能です。

5.まとめ

兼業者が建設業許可を取得する際は、経管の常勤性の証明、経営経験年数の算定、営業所の独立性、財産的基礎の確認といった点で、専業者とは異なる注意が必要になります。申請前に各要件を丁寧に確認し、必要な書類や体制を整えておくことが、スムーズな許可取得につながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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