建設業を営むには、原則として建設業法第3条第1項に基づく許可が必要です。しかし、いわゆる「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は例外として許可不要とされています。軽微な工事とは、建築一式工事については1件の請負代金が1,500万円未満または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事、それ以外の建設工事については500万円未満のものを指します(建設業法施行令第1条の2)。

 この軽微な工事の範囲を超えたにもかかわらず、無許可で建設業を営んだ場合、建設業法上の厳しい規制が適用されます。

無許可営業に対する刑事罰

 無許可で建設業を営んだ者には、建設業法第47条により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。悪質な場合は懲役と罰金が併科されることもあります。また、法人の代表者や従業員が違反した場合、その個人だけでなく法人に対しても1億円以下の罰金が科される両罰規定が設けられています(建設業法第53条)。

 いったん建設業法違反による罰金刑や懲役刑が確定すると、欠格要件(建設業法第8条)に該当し、その後5年間は建設業許可を取得できなくなります。これは事業継続に直結する深刻な影響といえます。

行政処分(監督処分)の3種類

 建設業法に違反した場合、刑事罰とは別に、許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)による監督処分が科されます。監督処分には次の3種類があります。

 ① 指示処分:法令違反の是正を命じる最も軽い処分です。

 ② 営業停止処分:1年以内の期間での営業停止処分です。指示処分に従わない場合や重大な違反については直接科されることもあります。

 ③ 許可取消処分:許可基準を満たさなくなった場合などに許可が取り消される、最も重い処分です。

 監督処分の内容は「建設業者監督処分簿」に記載され、公衆の閲覧に供されます。

無許可業者への発注も規制対象

 注意が必要なのは、無許可業者が罰則の対象になるだけでなく、許可業者が無許可業者に対して軽微な工事の範囲を超える工事を発注した場合も、元請業者が建設業法違反となる点です(建設業法第28条第1項第6号)。故意または重過失による発注であれば、元請業者も営業停止処分を受けるリスクがあります。下請業者の許可の有無を事前にしっかり確認することが求められます。

建設業法は無許可業者にも適用される

 建設業法の規制は許可業者だけを対象にしているわけではありません。無許可業者であっても、公正な請負契約締結義務(建設業法第18条・第19条)が課されます。また、工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合や、請負契約に関して著しく不誠実な行為があった場合には、都道府県知事による指示処分・営業停止処分(建設業法第28条第2項・第3項)が適用されます。さらに、国土交通大臣や都道府県知事は、許可の有無を問わず建設業を営む者に対して報告を求めたり、立ち入り検査を実施したりすることができます。

まとめ

 建設業法における無許可業者への規制は、刑事罰・行政処分のいずれも非常に重い内容です。軽微な工事の範囲を正確に把握し、必要な許可を適切に取得することが、事業の安定した継続につながります。許可要件や申請手続きについて不明な点がある場合は、専門家への相談をご検討ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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