建設現場では、鉄骨・コンクリートブロック・建具・内装材など、さまざまな建設資材を上階や所定の位置に運び込む作業が発生します。こうした「荷揚げ作業」を業として請け負う場合、建設業許可との関係を正しく理解しておく必要があります。

荷揚げ作業は「とび・土工・コンクリート工事業」に該当する

 建設業法上、建設資材の荷揚げ作業は「重量物の揚重運搬配置工事」として、とび・土工・コンクリート工事業の工事内容に位置づけられています。

 国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、とび・土工・コンクリート工事の内容の一つとして「足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事」と定められており、その例示として「重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事」が明記されています。

 建設資材の荷揚げ作業がこの「揚重運搬配置工事」に該当する場合は、建築一式工事の許可ではなく、とび・土工・コンクリート工事業の許可が必要となります。

許可が必要になる金額のライン

 建設業許可が必要かどうかは、工事1件の請負代金の額で判断します。

 建築一式工事以外の建設工事(荷揚げ作業もこれに該当)については、1件の請負代金が500万円未満(消費税込)の場合は「軽微な建設工事」として、建設業許可を受けなくても請け負うことができます。

 一方、1件の請負代金が500万円以上(消費税込)になると、とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可が必要です。

 なお、500万円の判定には次の点に注意が必要です。まず、消費税込みの総額で判断します。次に、請負契約を意図的に複数に分割しても、実体が1つの工事であれば合算して判断されます。着手金・中間金・完成金と分けていても、合計が500万円以上になれば許可が必要です。

「建築一式の許可があれば足りる」は誤解

 現場で多く見られる誤解のひとつが、「建築一式工事の建設業許可があれば、荷揚げ作業も金額制限なく請け負える」という考え方です。

 しかし、建設業許可はあくまで業種ごとに取得するものです。建築一式工事の許可で金額制限なく請け負えるのは、「建築一式工事」に該当する工事のみです。荷揚げ作業を独立した専門工事として請け負う場合は、とび・土工・コンクリート工事業の許可が別途必要になります。

 「足場組立がメインの工事」「鉄骨の揚重がメインの工事」など、とび・土工・コンクリート工事業に分類される専門工事を単独で請け負う場合は、一式工事の許可では対応できません。この点は実務上トラブルになりやすい箇所であるため、発注内容や業務範囲を改めて確認しておくことが重要です。

無許可で請け負った場合のリスク

 建設業許可を受けずに500万円以上の工事を請け負った場合、建設業法違反となります。具体的には3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)が科せられます。

 さらに、建設業法違反による罰金刑は欠格要件(建設業法第8条)に該当し、刑の執行終了から5年間は建設業許可を取得することができなくなります。その間は軽微な建設工事しか請け負えず、事業の継続に直結する重大なリスクです。

 また、許可を持っていない業者に発注した元請業者も法令違反に問われる可能性がある点も見逃せません。下請業者に荷揚げ作業を発注する立場でも、相手方の許可取得状況を確認しておくことが求められます。

まとめ

 建設資材の荷揚げ作業(揚重運搬配置工事)は、とび・土工・コンクリート工事業に分類されます。1件の請負代金が500万円以上(消費税込)になる場合は、同業種の建設業許可が必要です。建築一式工事の許可では代替できない点に注意し、取引条件や発注内容を踏まえて適切な許可取得を検討することが重要です。

 実際の判断にあたっては、管轄の行政庁や専門家にご相談されることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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