建設工事を請け負う際、建設業許可が必要かどうかは、多くの事業者にとって実務上の重要な判断ポイントとなる。建設業法では、原則としてすべての建設工事に許可が必要とされているが、「軽微な建設工事」に該当する場合は例外として許可なしで請け負うことができる。

軽微な建設工事の基準

 軽微な建設工事の範囲は、工事の種類によって異なる。専門工事(建築一式工事以外の27業種)については、1件の請負代金が500万円未満であれば許可は不要とされる。一方、建築一式工事については、1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事であれば許可なしで施工できる(建設業法施行令第1条の2)。

 ここでいう木造住宅とは、主要構造部が木造であり、延べ面積の2分の1以上が居住の用に供する住宅を指す。店舗等の割合が2分の1を超える建物は「木造住宅」に該当しないため注意が必要だ。

請負代金の計算方法に注意

 請負代金の額は、消費税を含む税込金額で判断する。また、同一の工事を複数の契約に分割して請け負う場合は、それぞれの請負代金の合計額で判断される。たとえば、300万円と250万円の2つの契約に分けたとしても、合計550万円として扱われるため、専門工事であれば建設業許可が必要となる。

 さらに、注文者が材料を提供する場合には、その材料の市場価格や運送費を請負代金に加えた金額で判断される。帳簿上の請負金額が低くても、実態として500万円を超える可能性があるため、材料費の扱いには注意が必要だ。

許可なしで工事を請け負った場合のリスク

 軽微な建設工事の範囲を超えているにもかかわらず、建設業許可を取得せずに工事を請け負った場合は、建設業法違反となる。違反した場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(建設業法第47条)が科される可能性があるほか、営業停止や許可取消などの行政処分を受けるリスクもある。許可を持つ元請業者が、無許可の下請業者に500万円以上の工事を発注した場合も同様に問題となる点を認識しておきたい。

軽微な工事でも別途登録が必要な場合がある

 建設業許可が不要な軽微な工事であっても、工事の種類によっては別の法律に基づく登録や届出が必要な場合がある。解体工事業、電気工事業、浄化槽工事業などがその代表例だ。建設業許可とは別個の手続きが求められるため、自社の工事内容に関連する法令を事前に確認することが重要となる。

 許可が必要かどうかの判断は、金額だけでなく、工事の種類・材料費の扱い・契約の分割状況など複合的な要素を踏まえて行う必要がある。判断に迷う場合は、専門家や各都道府県の許可行政庁に相談することが望ましい。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。 実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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