
建設工事の請負契約には、「総価契約」と「単価契約」の2種類があります。一般的な総価契約は、工事全体の代金を最初から確定して締結する方式です。これに対して単価契約とは、あらかじめ数量を確定することが難しい場合に、単位あたりの価格(単価)だけを事前に取り決め、支払金額は実際に施工した実績数量に基づいて算出する契約方式です。
反復継続して行う維持補修工事や、数量が事前に確定できない緊急工事などで活用されることが多く、公共工事の入札においても用いられています。
建設業法上の位置づけ
建設業法第24条では、「委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する」と規定されています。
したがって、単価契約であっても、実質的に建設工事の完成を目的として締結されている場合は、建設工事の請負契約として扱われます。総価契約と同様に、建設業法の各規定がすべて適用される点に注意が必要です。
建設業法第19条:書面契約の義務
建設業法第19条は、建設工事の請負契約の当事者に対し、契約締結の際に工事内容・請負代金の額(または算定方法)・工期などの法定事項を書面に記載し、署名または記名押印のうえ相互に交付することを義務付けています。
この義務は単価契約においても同様に課されます。単価を記載するだけでは足りず、法定の記載事項を網羅した契約書面を取り交わすことが必要です。単価のみの記載にとどまる場合は建設業法違反となりますので、十分な注意が必要です。
なお、相手方の承諾を得た場合は、電磁的方法(電子契約)による締結も認められています。
建設業許可との関係:軽微な工事の判断
単価契約において特に注意が必要なのが、建設業許可が必要となる金額の判断です。
建設業法上、許可が不要となる軽微な建設工事(建築一式工事以外は請負代金500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満)に該当するかどうかは、個々の単価契約ごとではなく、同一の建設業者が請け負った一連の工事全体の請負金額の合計で判断されます(建設業法施行令第1条の2)。
たとえば、1回ごとの契約金額が200万円・100万円・300万円であっても、それらが一体の工事として請け負ったものであれば合計600万円となり、許可が必要な工事に該当します。単価契約だからといって個々の金額のみで判断することはできません。
偽装請負に注意
単価契約に関連して、偽装請負のリスクも見落とせません。
「作業員1名×単価×時間」という形で代金を算定しているような場合、建設工事の完成を目的とした契約ではなく、単に労働力の提供を行っているにすぎないと判断される可能性があります。このような実態は偽装請負に当たり、建設業法のみならず労働者派遣法上の問題も生じます。
一方で、「○○取付作業1箇所○○円」や「△△塗装作業1㎡○○円」のように、作業の成果に対して単価を設定する形式であれば、適法な請負契約と認められます。契約形式と実態が乖離しないよう、適切な契約内容の設定が求められます。
まとめ
単価契約方式は、数量が確定しにくい工事において柔軟性の高い契約方式ですが、建設業法上は通常の請負契約と同様の義務が課されます。書面契約の作成・交付、軽微な工事の判断基準の正確な把握、偽装請負とならない契約設計の3点が重要なポイントとなります。実際の契約内容については、管轄の行政庁や専門家に相談することをお勧めします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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