
建設業許可を取得している事業者が工事を施工する際、現場には必ず「技術者」を配置しなければなりません。その代表的な制度が「主任技術者」と「監理技術者」です。いずれも建設業法第26条に基づく義務ですが、それぞれ求められる場面や資格要件が異なります。本記事では、両者の違いを整理します。
主任技術者とはどのような存在か
主任技術者は、建設業許可を受けた業者が工事を施工するすべての現場に配置が義務づけられる技術者です(建設業法第26条第1項)。元請・下請を問わず、また請負金額の大小を問わず、許可業種の工事であれば配置が必要です。500万円未満のいわゆる軽微な工事であっても、許可業者が施工する場合は配置義務が生じます。
主任技術者の主な業務は、施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理のほか、現場に従事する作業員への技術的な指導・監督です(建設業法第26条の4)。資格要件としては、建設業法第7条第2号に定める要件を満たす必要があり、2級施工管理技士等が該当します。
監理技術者が必要になる場面
監理技術者は、すべての現場に必要なわけではありません。特定建設業者が発注者から直接工事を請け負い、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合に、主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません(建設業法第26条第2項)。なお、この金額要件は令和7年2月1日施行の改正により引き上げられたものです。
つまり、規模の大きな工事で多くの下請業者を束ねて施工する元請業者が、監理技術者の配置義務を負う場面が生じます。
監理技術者に求められる資格要件
監理技術者には、主任技術者よりも高い資格が求められます。建設業法第15条第2号に定める要件(1級施工管理技士等)を満たす必要があるほか、工事現場に専任で置かなければならない場合には、国土交通大臣指定機関が交付する「監理技術者資格者証」を取得し、かつ「監理技術者講習」を修了していることが条件です。
なお、専任配置の義務が生じる工事の基準は、同改正により請負金額4,500万円以上(建築一式工事の場合は9,000万円以上)とされています。
両者の違いを整理すると
主任技術者は「すべての許可業者のすべての工事現場」に必要な基本的な技術者です。一方、監理技術者は「特定建設業者が元請として大規模な工事を施工する場合」に必要となる、より高い責任と資格を持つ技術者です。適切な技術者の配置は法的義務であり、不適切な配置は建設業法違反として処分の対象になります。
自社の工事に主任技術者・監理技術者のどちらが必要か迷った場合は、許可行政庁や専門家に確認することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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