
建設業を営む事業者にとって、品質の高い工事を継続して提供するためには、技術力のある人材を確保し、育て続けることが欠かせない。こうした考え方を法律の枠組みに落とし込んだのが、建設業法第25条の27に定める「施工技術の確保に関する建設業者等の責務」である。
「施工技術」とは何か
建設業法が求める施工技術とは、設計図書に従って建設工事を適正に施工するために必要な専門的な知識とその能力を指す。単に工事をこなすための技術にとどまらず、公衆災害や労働災害を防止し、発注者との紛争を未然に回避するための基盤となるものと位置づけられている。
建設業者等に課される責務
建設業法第25条の27は、建設業者および工事に従事する者に対し、それぞれ以下の取り組みを努力義務として課している。
第一に、担い手の育成・確保と施工技術の確保(第1項)である。建設業者は、建設工事の担い手となる人材を育て、継続的に確保していくよう努めなければならない。少子高齢化による技能労働者の減少と若年層の入職不足が深刻化するなか、担い手の育成は業界全体の持続的な発展に関わる重要課題となっている。
第二に、労働者の適正な処遇確保(第2項)である。これは令和6年の建設業法改正(令和7年施行)により新たに追加された規定であり、建設業者は、労働者が有する知識・技能・その他の能力を公正に評価したうえで、適正な賃金を支払い、処遇を確保するための措置を効果的に実施するよう努めなければならない。実施状況については国が調査・公表する仕組みが設けられており(建設業法第40条の4)、社会的な注目も集まっている。
第三に、工事従事者自身の技術・技能向上(第3項)である。建設工事に従事する者は、適正な施工のために必要な知識・技術・技能を自ら高め続けることが求められる。
国による支援措置
国土交通大臣は、上記3項の取り組みを後押しするため、必要に応じて講習や調査の実施、資料の提供その他の措置を講じるものとされている(第4項)。技能検定制度や建設キャリアアップシステム(CCUS)の整備・普及もこうした国の支援施策の一環として位置づけられている。
実務上の留意点
第25条の27が定める各責務は、いずれも努力義務であり、直接的な罰則規定は設けられていない。しかし、施工技術の確保や人材育成への取り組みは、経営事項審査における技術職員数の評価や、許可更新時の専任技術者・主任技術者の要件充足にも間接的につながるものである。担い手確保の視点から内部体制を整えておくことが、長期的な事業継続の基盤となる。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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