建設業法では、許可を受けた建設業者がすべての工事現場に技術者を配置することを義務づけています。この配置技術者には「主任技術者」「監理技術者」の2種類があり、工事の規模に応じて求められる技術者の種別が異なります。

主任技術者の役割とは

 主任技術者は、施工計画の作成・工程管理・品質管理・安全管理など、工事現場における技術上の管理全般を担う責任者です。建設業法第26条に基づき、すべての工事現場への配置が義務づけられており、これに違反した場合は100万円以下の罰金が科されます。

専任とは何か、そして従来の原則

 公共性のある施設・工作物や多数の者が利用する施設に関する重要な建設工事で、請負金額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)のものについては、主任技術者を「専任」で置かなければなりません(建設業法第26条第3項、建設業法施行令第27条)。この金額要件は令和7年2月1日施行の改正によるものです。「専任」とは、その工事現場のみに専従することを意味し、従来は複数の現場を兼任することは原則として認められていませんでした。

令和6年12月改正による「専任特例1号」の新設

 技術者不足や生産性向上の必要性を背景に、令和6年12月13日に建設業法が改正・施行され、「専任特例1号」と呼ばれる新制度が創設されました(建設業法第26条第3項第1号・第4項)。この制度により、一定の要件を満たす場合に限り、主任技術者または監理技術者が最大2か所の工事現場を兼任することが可能になりました。

兼任が認められるための主な要件

 「専任特例1号」の適用を受けるには、主に以下の要件を満たす必要があります。

 ①情報通信機器の活用:カメラやオンライン会議ツール等のICTを活用し、現場に常駐しなくても適切な指示・確認ができる体制が整っていること。

 ②現場間の移動時間:兼任する工事現場どうしの移動時間がおおむね2時間以内であること。また1日の勤務時間内に巡回が可能であること。

 ③連絡担当者の配置:監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者を各工事現場に配置すること。一式工事の場合は当該工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者を配置すること。

 ④兼任現場数の上限:専任を要しない工事現場も含め、兼任するすべての工事現場の数が2を超えないこと

 なお、工事の進行中に要件を満たさなくなった場合は、即座に専任体制に戻す必要があります。継続的な要件確認が実務上の重要なポイントとなります。

営業所技術者等との兼任も可能に

 同じく令和6年12月13日の改正では、建設業法第26条の5が新設され、従来は認められていなかった営業所技術者等と工事現場の主任技術者・監理技術者との兼任も、特定の要件を満たす場合に可能となりました。ただし、既存の「営業所近接工事」の特例との併用はできません。

まとめ

 主任技術者の工事現場兼任は、令和6年12月の建設業法改正によって一定の条件のもとで認められるようになりました。ICTを活用した現場管理体制の整備や、要件の継続的な確認が求められます。自社が要件を満たすかどうかは、許可行政庁や専門家に相談することをお勧めします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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