建設業者が公契約関係競売等妨害罪(いわゆる入札妨害に関連する犯罪)で有罪判決を受けた場合、刑事罰だけでなく、建設業法上の行政処分(監督処分)が科されることになります。この記事では、有罪判決後に想定される処分の種類と、実務上の対応ポイントについて解説します。

有罪判決後に科される監督処分の内容

 国土交通省が定める「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」では、公契約関係競売等妨害罪・談合罪・贈賄罪・詐欺罪(刑法違反)は、業務に関する不正行為として厳格な処分基準が設けられています。

 具体的な営業停止処分の期間は、違反に関与した人物の会社内での地位によって異なります。

 代表権のある役員等が刑に処せられた場合は、1年間の営業停止処分となります。代表権のない役員等または政令で定める使用人が刑に処せられた場合は、120日以上の営業停止処分となります。それ以外の者(一般従業員等)が刑に処せられた場合は、60日以上の営業停止処分となります。

 これらの処分は、刑の確定時点を基本として行われます。ただし、違反事実が明白な場合は刑の確定を待たずに処分が行われることもあります。

欠格要件と許可取消の問題

 有罪判決の内容によっては、営業停止にとどまらず、建設業許可の取消につながる場合があります。

 建設業法第8条が定める欠格要件には、「拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」という規定があります(2022年刑法改正により「禁錮」から「拘禁刑」に改正)。この要件に該当すると、建設業法第29条に基づき許可の取消処分が行われます。

 判決の種類によって欠格期間の扱いが異なります。執行猶予付きの判決を受けた場合、執行猶予期間が満了した時点で刑の言い渡しが失効するため、その時点で欠格要件から外れます。一方、実刑判決(執行猶予なし)の場合は、刑期を終えた後もさらに5年間、欠格要件に該当し続けることになります。

 また、罰金刑のみの場合、拘禁刑以上に該当しないため、この欠格要件による許可取消には直ちに結びつきません。ただし、罰金刑であっても営業停止処分(監督処分)は別途確実に科されます。許可が取り消されないからといって、行政処分を受けないわけではない点に注意が必要です。

営業停止中に「できること」「できないこと」

 営業停止処分を受けた期間中であっても、処分を受ける前に締結済みの請負契約に基づく施工は継続できます。また、建設業許可や経営事項審査の申請手続き、工事代金の請求・受領なども引き続き行うことができます。

 一方で、新たな請負契約の締結、入札・見積・交渉といった付随行為は禁止されます。工事の追加に係る契約変更も原則として行えません。処分期間中にこれらの禁止行為を行った場合、さらに重大な処分につながるおそれがあります。

公共工事の入札参加資格への影響

 営業停止処分が確定した建設業者は、公共工事の入札参加資格審査においても重大な影響を受けます。各発注機関は、監督処分を受けた業者の参加資格を停止する措置を講じることが通例であり、営業停止期間中は事実上、公共工事への入札参加が困難となります。処分が解除された後も、入札参加資格の回復には各機関ごとの手続きが必要になる場合があります。

処分後の再出発に向けた対応

 行政処分を受けた後、建設業を継続するためには、社内のコンプライアンス体制の整備が求められます。監督処分基準では、社会的影響の大きい事案については、処分の前段階として法令遵守のための社内体制整備等を求める勧告が書面で行われる場合があることも明示されています。

 処分後の再発防止策の策定、役員・従業員への教育徹底、そして許可行政庁への適切な報告・届出を欠かさず行うことが、信頼回復への第一歩となります。許可取消を受けた場合は、欠格期間を経過した後でなければ再度の許可申請ができないため、将来的な事業継続を見据えた慎重な経営判断が求められます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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