建設業を営む事業者が公共工事の入札に参加しようとする場合、まず避けて通れない手続きが「経営事項審査」です。通称「経審(けいしん)」と呼ばれるこの審査は、公共性のある施設または工作物に関する建設工事を発注者から直接請け負おうとする建設業許可業者が必ず受けなければならないものです。

経営事項審査は何を審査するのか

 経営事項審査とは、建設業者の経営状況・経営規模・技術的能力・社会性などを客観的な指標によって数値化する審査制度です。各発注機関はこの審査結果をもとに入札参加資格の格付けを行い、受注できる工事の規模が決まります。公共工事への参入を目指す建設業者にとって、この仕組みを正確に理解することは欠かせません。

総合評定値(P点)の算出方法

 経営事項審査では、5つの評価要素から「総合評定値(P点)」が算出されます。評価要素はX1(工事種類別年間平均完成工事高)、X2(自己資本額および利払前税引前償却前利益)、Y(経営状況分析)、Z(技術力)、W(社会性等)の5つです。

 算出式は「P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W(小数点未満は四捨五入)」です。施工実績(X1)と技術力(Z)の比重がそれぞれ0.25と高く設定されており、技術者の充実と工事実績の積み上げが評点に直結します。

経営事項審査の流れと手数料

 経審を受けるには、大きく3つのステップがあります。まず、決算終了後に決算変更届を許可行政庁へ提出します。次に、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関へ「経営状況分析申請」を行います(手数料は機関により異なります)。その後、建設業許可を受けた行政庁に「経営規模等評価申請」を行います(手数料は8,100円+審査対象業種数×2,300円)。

 なお、「総合評定値の請求」は任意請求とされており、発注機関によっては請求を義務付けている場合もあります(手数料は400円+審査対象業種数×200円)。実務上は経営規模等評価申請と同時に請求するのが一般的です。

有効期間に注意が必要

 経審の結果には有効期間があります。審査基準日(原則として直前の決算日)から1年7か月が有効期間とされており、この期間が切れた状態では公共工事を直接請け負うことができません。毎年定期的に受審し、有効期間を途切れなく継続させることが実務上の重要ポイントです。決算終了後、余裕をもって手続きを進めることが求められます。

令和8年7月の改正にも注目

 令和8年2月6日に経営事項審査に関する基準等が改正され、令和8年7月1日から施行されます。技術職員数(Z1)に係る監理技術者補佐の取扱い変更など複数の評価項目が見直されており、最新の運用基準を継続的に確認しておくことが求められます。

まとめ

 経営事項審査は、公共工事の受注を目指すうえで欠かすことのできない手続きです。総合評定値(P点)の仕組みを正しく理解し、毎年の決算後に計画的に手続きを進めることが、安定した公共工事の受注につながります。制度は定期的に改正されるため、最新情報を継続的に確認することが大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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