公共工事の入札参加を目指す建設業者にとって、経営事項審査(経審)は避けて通れない手続きです。経審の総合評定値(P点)は複数の指標から構成されていますが、そのなかで財務面の健全性を評価するのが「経営状況分析(Y点)」です。本記事では、経営状況分析の申請方法から結果の読み方まで、基本的な流れを整理します。

経営状況分析とはなにか

 経営状況分析は、建設業法第27条の23第3項に基づき、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です。財務諸表のデータをもとに会社の経営状態を点数化したものがY点であり、P点全体の20%のウェイトを占めます。

 Y点は「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つの観点から会社の財務状況を評価するものです。企業規模の大小よりも、経営の健全性・効率性が重視されるため、売上規模が小さい会社でも高点数を獲得できる可能性があります。

申請先は「登録経営状況分析機関」

 Y点の算出は、国土交通大臣の登録を受けた「登録経営状況分析機関」にしか行うことができません。自己申告や都道府県への直接申請はできない点に注意が必要です。令和7年1月現在、全国に10機関が登録されており、どの機関に申請しても同一の計算式によって結果が算出されます。

 申請に必要な書類は主に、直前2期分の財務諸表と経営状況分析申請書です。申請方法はオンラインや郵送など、各機関によって異なりますので、事前に申請先の機関へ確認することをお勧めします。

Y点を構成する8つの指標

 Y点は、次の4つの観点から各2指標ずつ、合計8つの財務指標(X1〜X8)によって算出されます。

観点指標評価の方向
負債抵抗力X1:純支払利息比率低いほどよい
負債抵抗力X2:負債回転期間低いほどよい
収益性・効率性X3:総資本売上総利益率高いほどよい
収益性・効率性X4:売上高経常利益率高いほどよい
財務健全性X5:自己資本対固定資産比率高いほどよい
財務健全性X6:自己資本比率高いほどよい
絶対的力量X7:営業キャッシュフロー高いほどよい
絶対的力量X8:利益剰余金高いほどよい

 各指標には上限値と下限値が設定されており、その範囲内で数値が評価されます。たとえば純支払利息比率(X1)は借入金に対する利息負担の大きさを示し、支払利息が少ないほど、また受取利息・配当金が多いほど数値が低くなり、評価が高まります。

Y点の計算式と最高点

 8指標の数値をもとに「経営状況点数A」を算出し、さらに次の計算式でY点を求めます。

 Y点 = 167.3 × A(経営状況点数) + 583(小数点以下第1位を四捨五入)

 最低点は0点、最高点は1,595点です。Y点はX1の純支払利息比率とX2の負債回転期間がY点全体に与える影響が特に大きく、この2指標の改善が経審対策として重要なポイントとなります。

結果通知書の受け取りと活用

 分析申請後、登録機関から「経営状況分析結果通知書(Y点通知書)」が交付されます。この通知書は経審申請(経営規模等評価申請)の際に必要な書類となるため、適切に保管してください。一部機関では、同業他社との比較や翌期シミュレーションができるY点解説レポートも無料で提供されており、次期決算に向けた経営改善の資料として活用できます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。
個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
専任技術者要件の10年以上の証明の実績多数
経営業務の管理責任者

建設業29業種に対応
金看板取最短3日で申請!

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗