
建設業を営む上で、建設業法の遵守は事業継続の前提条件です。法令に違反した場合、刑事罰(懲役・罰金)と行政上の監督処分(指示・営業停止・許可取り消し)という2種類の制裁が科される可能性があります。本記事では、違反の内容ごとに罰則の重さと許可取り消しの条件を整理します。
建設業法の罰則は4段階
建設業法の罰則は重い順に次の4段階に区分されています。それぞれの違反内容と対応する罰則を正確に把握しておくことが重要です。
① 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(第47条)
建設業法の中でもっとも重い罰則です。無許可で建設業を営んだ場合、特定建設業許可なしに制限額を超える下請契約を締結した場合(第16条違反)、営業停止処分に違反して営業を続けた場合、虚偽・不正の事実に基づいて許可を取得した場合などが該当します。情状によっては懲役と罰金の両方が併科されます。なお、法人の役員や従業員が違反した場合は、行為者個人への罰則に加え、法人に対して1億円以下の罰金が科される両罰規定が適用されます。
② 6か月以下の懲役または100万円以下の罰金(第50条)
許可申請書や変更届に虚偽記載をして提出した場合、許可要件を満たさなくなったときや欠格要件に該当したときの届出を怠った場合、経営事項審査の申請書に虚偽を記載した場合などが対象です。変更届の未提出や遅延は見落とされやすい違反の一つであり、注意が必要です。こちらも情状により懲役と罰金の併科があります。
③ 100万円以下の罰金(第52条)
工事現場に主任技術者または監理技術者を配置しなかった場合、許可失効・営業停止・許可取り消し後に2週間以内に注文者へ通知しなかった場合、行政庁からの報告徴収に対して報告を拒否または虚偽の報告をした場合などが該当します。
④ 10万円以下の過料
営業所に建設業の標識を掲示していない場合、帳簿を備え付けていない・正確に記載していない場合などです。「過料」は刑罰ではありませんが、行政上のペナルティとして科されます。軽微に見えますが、標識掲示や帳簿管理は日常的な法令遵守事項として徹底が求められます。
行政上の監督処分(指示・営業停止・許可取り消し)
刑事罰とは別に、国土交通大臣または都道府県知事は行政処分を行う権限を持っています。指示処分・営業停止処分・許可取り消し処分の3段階があります。
指示処分は、法令違反や不適切な業務に対して改善を命じる処分です。もっとも軽い段階ですが、指示に従わない場合は営業停止処分へとエスカレートします。営業停止処分は、一定期間・一定範囲の営業を禁止する処分で、無許可業者への下請発注や一括下請負(丸投げ)禁止違反などが典型的な対象となります。
建設業許可が取り消される主な理由
建設業法第29条に基づく許可取り消しは、次のような場合に行われます。許可取得後に欠格要件(第8条各号)に該当した場合、経営業務の管理責任者や専任技術者が常勤しなくなり是正されない場合、財産的基礎の要件を満たさなくなった場合、不正・虚偽の手段で許可を取得したことが判明した場合などです。また、役員が犯罪により刑が確定した場合も取り消しの対象になりえます。令和7年6月1日施行の刑法改正により、欠格要件(第8条第7号)の文言は「禁錮以上の刑」から「拘禁刑以上の刑」に改正されています。建設業許可は「人」の要件と「会社」の要件が連動しているため、役員の行為が会社全体の許可に影響します。
許可取り消し後の影響
建設業許可が取り消されると、原則として取り消しの日から5年間は新たな許可を受けることができません(第8条第2号)。この間は軽微な建設工事しか受注できなくなるため、事業の継続が実質的に困難になるケースもあります。なお、取り消しを免れる目的で廃業届を提出した場合も同様の扱いとなります。さらに、変更届などの提出義務を怠ったまま廃業届のみを提出した場合は虚偽申請に該当するリスクもある点に注意が必要です。
まとめ
建設業法違反の制裁は、刑事罰と行政処分の両面から科される可能性があります。軽微に見える届出の遅延や技術者の配置不備も、積み重なれば重大な結果につながります。自社の許可要件の維持状況を定期的に確認し、法令遵守の体制を整えることが事業を守る最善策です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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