建設業許可は、一度取得すれば永続するものではありません。許可取得後に一定の事由に該当した場合、国土交通大臣または都道府県知事は許可を取り消さなければならないと定められています。建設業法第29条は、こうした取消事由を具体的に列挙しており、許可業者にとって理解しておくべき重要な規定です。

許可取消しの主な事由

① 許可基準を満たさなくなった場合(第29条第1項第1号)

 経営業務の管理責任者または営業所技術者(※)が不在となった場合が代表的なケースです。退職や死亡などで要件適格者がいなくなり、後任者を補充しないまま放置した場合、取消処分の対象となります。特定建設業では、財産的基礎要件を満たさなくなった場合も該当します。なお、後任者をすみやかに補充し変更届出を行えば、許可の取消しには至りません。

 (※)「営業所技術者」は、令和6年12月13日施行の改正建設業法により、従来の「専任技術者」から改称されたものです。要件の内容に変更はありません。

② 欠格要件に該当するに至った場合(第29条第1項第2号)

 拘禁刑以上の刑に処せられた場合や、暴力団員に該当するに至った場合などが対象です。拘禁刑は、令和4年の刑法改正により「懲役」と「禁錮」が一本化された刑罰で、令和7年6月に施行されています。執行猶予付きの刑であっても、執行猶予期間中は欠格要件に該当します。また、役員等が欠格要件に該当した場合には、法人全体の許可取消しにつながる点に注意が必要です。

③ 不正な手段で許可を取得した場合(第29条第1項第5号)

 申請書類への虚偽記載や、行政庁の照会・検査に対して虚偽の回答を行うなどして許可を受けた場合が該当します。許可取得時点ではなく、後に不正が発覚した場合も取消処分の対象となります。この事由による取消しは、後述の再取得制限に直結するため、特に重大な違反と位置づけられています。

④ 許可後1年以内に営業を開始しない、または1年以上営業を休止した場合(第29条第1項第3号)

 許可取得後に実態のある営業活動を行わない状態が続いた場合も、取消事由となります。許可を取得したまま実質的に休眠状態にある業者に対し、許可の形骸化を防ぐ趣旨の規定です。

⑤ 営業停止処分違反または情状が特に重い法令違反(第29条第1項第6号)

 第28条に基づく営業停止処分を受けたにもかかわらずこれに違反した場合、または建設業法違反の情状が特に重い場合には、指示処分・営業停止処分といった段階を経ずに直接取消処分となります。重大な違反があった場合には即時取消しもありうることを、許可業者は認識しておく必要があります。

取消し後の再取得制限

 不利益処分(欠格要件への該当や不正取得など)による許可取消しを受けた場合、取消しの日から5年間は再度の許可取得ができません(建設業法第8条)。この制限は当該業者だけでなく、取消し前60日以内にその法人の役員等であった者にも及びます。事業継続に直結する重大な制裁であるため、取消処分を受けないための法令遵守体制の整備が求められます。

取消しを防ぐために

 許可取消しのリスクを避けるためには、許可要件の継続的な維持管理が不可欠です。人事異動や役員変更が生じた際には、速やかに要件充足状況を確認し、必要な変更届出を行うことが重要です。また、法令違反の防止に向けた社内体制の整備も求められます。許可の維持は申請時だけでなく、取得後の継続的な管理によって初めて確保されるものです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗