
建設業許可の営業所技術者(旧:専任技術者)要件を実務経験で満たすには、建設業法第7条第2号ロに基づき、10年以上の実務経験を客観的に証明しなければなりません。しかし申請を進めようとした際、「経験はあるが書類が残っていない」「前の会社と連絡が取れない」という壁にぶつかるケースは少なくありません。実務経験の証明に必要な書類は、工事請負契約書・注文書と請書のセット・請求書と通帳の入金記録など、工事ごとの裏付け資料です。これらが揃わないと、どれだけ長い経験があっても許可取得は困難になります。
証明者が「許可業者」かどうかで必要書類が変わる
実務経験証明書(様式第9号)には「証明者」欄があり、証明者が建設業許可を持っていたかどうかによって、必要な確認書類の内容が大きく異なります。証明者が無許可の会社や個人事業主であった場合、10年分の工事実績を示す裏付け書類(工事請負契約書・注文書・請求書と通帳の入金記録など)を自力で揃える必要があります。一方、証明者が建設業許可を受けていた会社(許可業者)であった場合、個別の工事書類に代えて建設業許可通知書の写しを提出することで証明できる仕組みがあります。この違いは実務上、書類収集の負担に大きく影響します。
許可業者による証明の具体的な流れ
許可業者による証明を活用するには、まず在籍していた会社が当時、申請しようとする業種の建設業許可を取得していたかどうかを確認することが出発点です。国土交通省が公開している「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」や各都道府県の建設業担当窓口で照会できます。在籍期間中に対象業種の許可を持っていた事実が確認できれば、その会社の代表者(または元代表者)が証明者として実務経験証明書に署名・押印し、個別の工事書類に代えて当該業種の建設業許可通知書の写し(在籍期間をカバーする分)を提出することで証明できます。これとは別に、在籍期間中の常勤性を示す書類として、厚生年金の被保険者記録照会回答票・健康保険の標準報酬決定通知書・住民税の特別徴収税額通知書などが必要になります。
廃業・解散した会社の経験を使う場合
在籍していた会社がすでに廃業・解散していても、対応の可能性がゼロになるわけではありません。自治体によっては、①在籍当時の会社が申請業種の建設業許可を持っていたこと、②本人が同期間に厚生年金に加入していたことの2点を書類で確認できれば、前の会社への連絡なしに実務経験として認める運用をしているところがあります。厚生年金の被保険者記録は最寄りの年金事務所で照会できます。ただしこの取り扱いは自治体によって異なるため、事前に申請先窓口で運用を確認することが必要です。
許可業者証明を使う際の注意点
許可業者による証明が有効となるのは、在籍期間中に「申請しようとする業種の許可」を取得していた会社に限られます。たとえば電気工事業の許可を取ろうとしている場合、在籍当時の会社が他業種の許可しか持っていなかった場合はこの方法は使えません。また、許可業者証明が活用できる場合でも、常勤性の証明書類は別途必要です。なお健康保険被保険者証は令和6年12月以降の新規発行が廃止されており、現在は厚生年金の被保険者記録照会回答票などが代替書類として用いられています。申請時期によって必要書類が変わる場合があるため、事前に窓口で確認することをお勧めします。
書類収集の前に窓口相談を
実務経験の証明方法や認められる書類の種類は、申請先の都道府県ごとに取り扱いが異なります。同じ状況でも、自治体の運用によって証明できるケースとできないケースに分かれることがあるため、書類収集を始める前に申請先窓口への事前相談を行うことが、時間とコストの節約につながります。過去の在籍先・在籍期間・許可の有無・厚生年金加入の有無などをあらかじめ整理した上で相談に臨むと、必要な対応が見えやすくなります。実務経験証明の可否や必要書類の詳細は、各行政庁の指導に従って進めてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。 実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
- 建設業許可特化事務所
- 行政書士吉田哲朗事務所
行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。
個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
・専任技術者要件の10年以上の証明の実績多数
・経営業務の管理責任者
・建設業29業種に対応
・金看板取最短3日で申請!
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)
YouTube
投稿者プロフィール

最新の投稿
お役立ちコラム2026年7月15日兼業がある場合に問題となる場面
お役立ちコラム2026年7月14日常勤性とはどのような状態を指すのか
お役立ちコラム2026年7月13日経営業務の管理責任者とは何か
お役立ちコラム2026年7月12日 「500万円以上の工事を受けたいけれど、建設業許可が必要なのか分からない」そんな不安を感じていませんか。







