建設業許可は、許可取得日から5年間が有効期間です。この期間内に更新手続きを完了できなかった場合、許可は自動的に失効します。「うっかり期限を過ぎてしまった」「書類の準備が間に合わなかった」という事態が実際に起こりえますが、建設業許可には救済措置は一切なく、一度失効した許可を復活させる手続きは存在しません。再び許可を取得するためには、初めて申請するときと同様に、新規申請をイチから行う必要があります。

失効後すぐに対応しなければならないこと

 許可が失効した後であっても、失効前に締結していた請負契約に基づく工事については、引き続き施工することができます(建設業法第29条の3)。ただし、許可が失効してから2週間以内に、施工中の工事の注文者に対して許可が失効した旨を通知する義務があります。この通知を怠った場合は、建設業法違反となるため注意が必要です。また、失効後に新たに500万円以上の工事を請け負うことは無許可営業となり、厳しい罰則の対象となります。

新規申請は「最初から」やり直し

 かつて建設業許可を保有していた事業者であっても、許可失効後に再度許可を取得する場合は、手続きとしては通常の新規申請と同じ扱いとなります。ただし、常勤役員等と営業所技術者等(専任技術者)に変更がなく、かつ決算変更届・各種変更届を適切に提出していた場合は、過去の許可申請書や変更届等の写しを活用して経験を証明できる場合があり、完全な新規申請と比べると書類準備の負担が軽くなることが期待できます。一方、変更届・決算変更届の提出が滞っていた場合や人的要件に変更がある場合は、工事請負契約書や注文書等をイチから揃える必要があり、難易度は完全な新規申請と変わりません。なお、社会保険の加入状況や財産的基礎の証明書類については直近のものが必要となる点はいずれの場合も共通です。また、過去書類の取り扱いは申請先の行政庁によって異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。

許可番号は引き継ぐことができない

 新規申請で許可を取り直した場合、以前の許可番号は引き継ぐことができず、新たな許可番号が付与されます。長年取引を続けてきた元請会社や発注者に対して許可番号の変更を改めて周知する必要があり、信用面での影響も少なくありません。また、公共工事の入札資格は許可の失効と同時に喪失するため、再取得後に入札参加資格の申請も別途必要になります。許可番号が変わることは、対外的には「許可を取り直した」ことが明確になるため、取引先への説明も丁寧に行うことが重要です。

審査期間中は許可業者として活動できない

 新規申請を提出してから許可が下りるまでには、知事許可で概ね1〜2か月、大臣許可で概ね3〜4か月が目安とされています(都道府県や申請内容によって異なります)。この審査期間中は無許可業者の扱いとなるため、500万円以上の工事を新規に請け負うことができません。許可の空白期間が生じることで、受注機会の損失や取引先への信頼低下といった実害が生じる可能性があります。できる限り早期に申請手続きを進めることが重要です。

決算変更届の未提出が更新できない原因になることも

 更新申請が受け付けてもらえない原因のひとつに、決算変更届(事業年度終了届)の未提出があります。許可を受けた後は、毎事業年度終了後に決算変更届を提出することが義務付けられており、これが滞っていると更新申請そのものが受理されません。気づいたときには期限が迫っており、間に合わないという事態が実際に起こりえます。また、失効後の新規申請においても、決算変更届の提出状況が過去の経験証明に直結するため、日ごろから適切に提出しておくことが、許可の継続と再取得の両面で重要です。

まとめ:許可の維持管理を日常的に意識することが重要

 建設業許可の更新は5年に一度という間隔があるため、つい後回しになりがちです。しかし、一度失効させてしまうと、新規申請・許可番号の変更・審査期間中の営業制限・取引先への周知と、多大な時間とコストが発生します。有効期限の確認、決算変更届の継続的な提出、要件充足状況の定期確認といった日常的なメンテナンスが、許可の維持において最も重要です。不安な点がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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