
経営業務管理責任者(常勤役員等)とは
建設業許可を取得するには、会社や個人事業主に経営業務管理責任者(常勤役員等)を1名以上置く必要があります。建設業に関する経営経験が一定期間あることが要件となりますが、この経験は現在の会社だけでなく、過去に在籍していた会社での役員経験を使って証明することも可能です。
前の会社の役員経験で証明する場合の基本的な考え方
現在の会社に入る前に、別の会社で取締役などの役員を務めていた場合、その期間を経営経験としてカウントできます。ただし、自社での経験を証明する場合よりも準備すべき資料が増える点に注意が必要です。前の会社が建設業許可を持っていたかどうかによって、必要な証明方法が大きく変わります。
前の会社が建設業許可を持っていた場合
前の会社が建設業許可を持っていた場合は、その会社が過去に提出した許可申請書(副本)の常勤役員等証明書や、登記事項証明書などによって、許可の有効期間分をまとめて経営経験として証明できます。個別の工事の契約書や通帳を年数分そろえる必要がなく、比較的スムーズに進められるケースです。
前の会社が建設業許可を持っていなかった場合
前の会社が建設業許可を取得していなかった場合は、登記事項証明書に加えて、該当年に建設業を営んでいたことを示す工事実績の資料を必要年数分そろえる必要があります。具体的には、次のいずれかの組み合わせで足ります。
①契約書のみで足りる場合、②注文書と、それに対応する請書控の組み合わせ、③注文書・請書控・請求書のいずれかに、入金が確認できる通帳や預金取引明細票を組み合わせる方法です。請求書と通帳の組み合わせは、このうちの一つの方法にすぎません。
愛知県における取扱い
愛知県の審査では、登記事項証明書の目的欄に建設業に関する記載が証明期間中ずっとあり、当該業種の建設業を継続して営んでいたと確認できる場合に限り、実績書類を各年1件そろえれば足りるという扱いになります。目的欄の記載が変更されている、あるいは建設業に関する記載がない期間を含む場合は、年1件ではなく、書類と書類の間隔が12ヶ月を超えないこと(いわゆる12ヶ月ルール)を基準に、必要な件数をそろえる必要があります。
なお、通帳を入金確認の資料として提出する際は、前の会社の屋号が記載された通帳の入金明細を求められる運用となっています。これは手引きの明文規定ではなく、管轄の建設事務所への確認に基づく実務上の取扱いですので、事前に申請先の窓口へ確認しておくと安心です。
前の会社が既に存在しない・協力が得られない場合
前の会社が倒産している、あるいは連絡が取れず協力を得られないケースも少なくありません。この場合でも、法務局から閉鎖事項全部証明書を取得することで役員在籍期間そのものは証明できます。建設業を営んでいたことを示す契約書等が手元にない場合は、取引先であった発注者に工事記録の提供を依頼するなど、代替的な資料集めが必要になることがあります。
証明を進める際の注意点
経営経験として認められるのは、前の会社の役員在籍期間と、建設業を営んでいた期間とが重なっている期間のみです。なお、常勤性の確認は、現在申請しようとしている会社での勤務実態について別途必要になります。書類がそろっていても、期間にずれや空白があると経験年数として認定されない場合がありますので、必要となる書類の取り扱いは自治体によって細部が異なることも踏まえ、申請先の手引きや窓口での事前確認をおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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