
建設業許可があれば工事は全国どこでも可能
建設業許可を取得すると、その効力は都道府県の枠を超えて全国47都道府県に及びます。知事許可であっても、施工できる工事現場の場所には制限がありません。「知事許可だから県外の工事はできないのでは」と誤解されることがありますが、これは正しくありません。許可の種類が制限しているのは施工エリアではなく、後述する「営業所」をどこに置くかという点です。
大臣許可と知事許可の違いは営業所の所在地で決まる
大臣許可と知事許可を分けるのは、建設業法上の「営業所」が複数の都道府県にまたがっているかどうかです。営業所が一つの都道府県内にしかない場合は知事許可、二つ以上の都道府県に営業所を設けている場合は国土交通大臣の許可(大臣許可)が必要になります。ここでいう営業所とは、単なる作業拠点や資材置き場ではなく、見積り・入札・契約締結といった実体的な業務を行う事務所を指します。
支店を「営業所」として使うかどうかで対応が変わる
他県に支店や事務所を開設する場合、まず確認すべきはその拠点が建設業法上の営業所に該当するかどうかです。契約権限を持たず、総務や現場管理のみを行う事務所、資材置き場、単なる現場事務所であれば営業所には該当せず、追加の許可要件も発生しません。一方で、その拠点で見積書の作成や請負契約の締結を行うのであれば、営業所としての要件を満たす必要があります。
営業所として使う場合に必要な体制
支店を営業所として運用する場合は、電話・机・帳簿類を備え、居住スペースと明確に区分された独立の事務室を用意する必要があります。加えて、その営業所には契約締結の権限を持つ「令3条の使用人」(支店長・営業所長など)と、専任の技術者(営業所技術者等)を常勤で配置しなければなりません。これらの担当者は他の営業所と兼務することができず、常勤性が厳格に求められる点に注意が必要です。
知事許可から大臣許可への切り替えが必要になるケース
もともと一つの都道府県のみで知事許可を受けていた事業者が、別の都道府県に営業所としての支店を新設する場合は、大臣許可への切り替え手続きが必要になります。同一の事業者が大臣許可と知事許可を同時に持つことはできないため、既存の許可業種と新拠点の許可業種が異なる場合でも、対象となる業種すべてを大臣許可へまとめて変更する必要がある点は見落としやすいポイントです。
まとめ
建設業許可を取得していれば、工事そのものは全国どこでも施工可能です。ただし、支店を「契約を結ぶ営業所」として機能させる場合には、事務所の物的要件や人員配置、許可区分の切り替えといった別の手続きが発生します。支店開設を計画する際は、その拠点が営業所に該当するのかどうかを最初に整理しておくことが、スムーズな展開につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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