建設業許可を受けるためには、営業所ごとに一定の資格や実務経験を持つ技術者を配置しなければなりません。この要件を満たす目的で、実際には勤務していない有資格者の名前だけを借りる、いわゆる名義貸しが行われることがありますが、こうした申請は制度上認められていません。

名義貸しとはどのような状態か

 名義貸しとは、資格を持つ人が実際にはその会社に勤務していないにもかかわらず、書類上だけ営業所技術者等や常勤役員等として登録されている状態を指します。報酬を支払って資格だけを借りる場合も、知人に名前だけ貸してもらう場合も、勤務の実態が伴っていなければ同じ評価となります。会社に籍はあるものの出勤実態がない場合や、他社に常勤しながら形式的に登録されている場合も、同様に問題となります。

常勤性が要件とされる理由

 建設業許可の技術者要件は、資格を持つ人が名簿上に存在すればよいというものではなく、その営業所に常勤し、専らその職務に従事することが前提とされています。見積、契約締結、施工体制の管理など、日常的に技術的な判断を求められる場面が多いためです。建設業許可事務ガイドラインでは、勤務状況や給与の支払状況、人事権の状況等から専任性を判断するとされており、一定の条件を満たすテレワークや出向社員も認められる一方、実態のない登録は否定されます。

名義貸しが発覚した場合のリスク

 虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けた場合、建設業法第47条により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められ、情状により併科されることもあります。法人に対しては両罰規定により1億円以下の罰金が科され得ます。また、申請書等に虚偽の記載をして提出した行為は第50条の対象です。さらに不正の手段により許可を受けたと判断されれば許可は取り消され、取消しの日から5年間は新たな許可を受けられません。名義を貸した側の有資格者も、責任を問われる立場になり得ます。

常勤性はどのように確認されるか

 申請の場面では、社会保険の加入状況を示す資料や賃金台帳などによって常勤性が確認されます。必要書類は許可行政庁ごとに定められており、住民票の要否など取扱いが異なるため、最新の手引で確認することが欠かせません。健康保険被保険者証については廃止に伴い代替書類による確認へ移行しています。あわせて、営業所へ通勤できる状況か、他社で常勤していないかといった点も確認の対象となります。

まとめ

 名義貸しによる申請は、仮に一時的に許可が下りたとしても、更新申請や決算変更届、行政庁の調査などの場面で発覚するおそれがあります。要件を満たす人材の確保が難しい場合には、実務経験による証明の検討や、社内での資格取得支援など、正規の方法によって体制を整えることが結果的に安全といえます。判断に迷う場合は、早い段階で許可行政庁や専門家に確認することが望まれます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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