建設業許可を取得した次のステップとして、公共工事への参入を検討する事業者は少なくありません。ただし、許可を持っているだけでは国や地方公共団体が発注する工事を直接請け負うことはできず、別に定められた手続きを段階的に踏む必要があります。ここでは、公共工事の受注に至るまでに何をすべきかを順に整理します。

公共工事の直接受注には経営事項審査が必要

 建設業法第27条の23は、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、経営事項審査を受けなければならないと定めています。対象となるのは、国・地方公共団体・法人税法別表第一に規定する公共法人等が発注者であり、かつ工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の工事です。いずれも消費税及び地方消費税を含んだ金額で判断し、緊急性が重視される災害関係の応急工事は除かれます。下請として公共工事に関わる場合は対象外ですが、元請として受注するのであれば避けて通れない手続きです。

経営事項審査までの流れと愛知県の運用

 経営事項審査は単独の手続きではなく、決算変更届(事業年度終了届出書)の提出が出発点となります。国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請し、その結果通知書を添えて許可行政庁へ経営規模等評価の申請と総合評定値の請求を行う流れです。愛知県知事許可の場合は予約制が採られており、決算変更届の提出時に予約を申し出ると、原則として申し出月の翌月に審査、結果通知はその翌月末に発送されます。なお、経営業務の管理責任者や営業所技術者等の変更届が未提出のままでは経営事項審査を受け付けてもらえない点にも注意が必要です。

入札参加資格審査申請は発注機関ごとに行う

 結果通知書を得ても、それだけで入札に参加できるわけではありません。受注を希望する発注機関ごとに入札参加資格審査申請を行う必要があります。愛知県および県内の多くの市町村では、建設工事についてあいち電子調達共同システム(CALS/EC)による電子申請に一本化されており、別送書類を除き紙での受付は行われていません。資格は2年度単位で、愛知県の令和8・9年度分は定時受付が終了し、現在は令和10年1月31日までの随時受付期間にあたります。随時受付での登録日は申請日の属する月の翌々月が目安となり、等級区分が設定されている業種では総合評定値に応じて等級が決まります。

参入後も毎年の手続きが前提となる

 経営事項審査の結果通知書は、審査基準日(決算日)から起算して1年7か月後の日までが公共工事の受注について有効とされています。決算変更届の提出から結果通知の交付まで数か月を要することを踏まえると実質的な余裕は1年程度にとどまり、空白期間が生じればその間は受注ができません。公共工事への参入は一度きりの手続きではなく、決算のたびに同じサイクルを繰り返す体制を社内に整えておくことが前提となります。

建設業許可・経営事項審査のご相談

 建設業許可の取得から決算変更届、経営事項審査、入札参加資格審査申請まで、公共工事への参入に向けた手続きは多岐にわたります。手続きの進め方やスケジュールについてお困りの際は、行政書士吉田哲朗事務所までお気軽にご相談ください。お問い合わせフォームよりご連絡いただけます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、
公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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