
建設業において「入札」や「契約方式」という言葉はよく耳にしますが、その仕組みや種類について正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。今回は、建設工事を受注・発注するうえで欠かせない「入札」と「契約方式」について、基本からわかりやすくご紹介します。
◆ 入札とは?〜公平性を保つための仕組み〜
入札とは、発注者(主に国や自治体などの公共機関)が工事や業務を行う業者を選定するために、複数の業者に価格や技術提案を出させて比較・選定する方法です。
建設業界では「公共工事」が多いため、入札制度は極めて重要な役割を果たしています。
【主な入札方式】
- 一般競争入札:広く業者を公募し、最も条件に合った業者を選定。透明性が高い。
- 指名競争入札:あらかじめ指名された特定の業者のみが参加可能。実績重視。
- 随意契約:特殊性や緊急性などにより、特定の業者と直接契約。例外的。
◆ 契約方式とは?〜工事の進め方を決める枠組み〜
契約方式とは、発注者と受注者がどのような契約内容・分担で工事を進めていくかという取り決めです。近年では、従来型の方式に加えて、新しい契約方式も注目されています。
【主な契約方式】
- 設計・施工分離方式(DBB)
設計は設計事務所、施工は別途入札。伝統的だが、責任分散しやすい。 - 設計・施工一括方式(DB)
一つの企業(またはJV)が設計と施工を一括受注。コストや期間の最適化が可能。 - CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)
CM会社が中立的立場で発注者を支援。透明性と合理性を追求。 - ECI方式(早期施工者関与方式)
設計段階から施工業者が関与し、実現性とコスト管理を高める。
◆ 最近の動向:多様化するニーズに対応した契約方式
現在では「スピード」「コスト最適化」「品質確保」など多様なニーズに対応するために、設計・施工一括方式やECI方式など、柔軟な契約方式が広がりつつあります。特に大規模工事や民間プロジェクトでは、設計と施工の連携強化が求められています。
◆ まとめ
建設業における入札・契約方式は、工事の公平性、透明性、品質を確保するために極めて重要な制度です。発注者側も受注者側も、それぞれの方式の特徴を正しく理解し、最適な手続きを選ぶことが成功の鍵となります。
- 建設業許可特化事務所
- 行政書士吉田哲朗事務所
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