
建設工事を発注・受注する際には、後のトラブルを防ぐためにも「工事契約書」をしっかりと作成しておくことが重要です。
書面を交わさずに口頭だけで契約を進めてしまうと、工期・金額・責任範囲などをめぐって紛争に発展するおそれがあります。
ここでは、建設業法上定められている工事契約書に記載すべき主な事項について整理します。
1.契約当事者の明確化
まずは、発注者・受注者双方の名称・所在地・代表者名を正確に記載します。
法人の場合は商号と本店所在地、個人事業者であれば氏名と住所を記載するのが原則です。
また、下請契約の場合には元請業者の情報も明記し、契約当事者を明確にしておくことが大切です。
2.契約金額と支払条件
契約金額は、消費税を含めた総額表示が望ましいとされています。
併せて、支払時期・方法・出来高払いの有無を明示する必要があります。
「中間金」「前払金」「最終支払金」などの区分を明確にしておくことで、資金トラブルを防ぐことができます。
3.工事内容と施工範囲
契約書の中心となるのが工事内容の特定です。
設計図書・仕様書に基づき、施工範囲を具体的に定めます。
「どの部分までが請負範囲なのか」「設備・材料の手配は誰が行うのか」といった点を曖昧にすると、追加工事や責任の所在で問題が起こる場合があります。
4.工期と引渡し時期
工事着手日・完成日を明記することは必須です。
また、工期延長の条件(天候不良・設計変更など)や、引渡しの手続きも記載しておくと安心です。
「いつからいつまでにどの範囲の工事を行うのか」を明確にすることで、工程管理の根拠にもなります。
5.変更・追加工事の扱い
実際の施工では、設計変更や追加工事が発生することがよくあります。
そのため、変更が生じた場合の協議方法や費用精算方法をあらかじめ取り決めておくことが重要です。
建設業法上も、契約内容を変更した場合はその都度書面を取り交わすことが求められます。
6.瑕疵担保・保険関係
工事完成後に欠陥が発覚した場合の責任(瑕疵担保)についても明記します。
建設業法では、請負業者は引渡し後一定期間、瑕疵を修補する責任を負うとされています。
また、建設工事保険や労災保険など、加入している保険の種類も記載しておくと信頼性が高まります。
7.契約解除・損害賠償
契約を解除する場合の条件や、損害賠償の範囲・方法も重要な項目です。
特に、発注者・受注者いずれの都合による解除かによって、責任の所在が変わるため、解除の手続きや違約金の扱いを具体的に定めておく必要があります。
8.紛争解決方法
万が一トラブルが発生した場合の解決方法や管轄裁判所も記載します。
また、建設業法第25条の3に基づく建設工事紛争審査会によるあっせん・調停・仲裁を利用できる旨を明記することも有効です。
まとめ
工事契約書は、単なる形式的な書類ではなく、双方の信頼を保つための重要な証拠書類です。
発注者・受注者双方の権利と義務を明確にし、後のトラブルを防ぐためにも、内容をしっかりと確認したうえで署名・押印を行いましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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