
建設業許可では、営業所ごとに専任技術者を配置することが求められています。
では、1人の技術者が複数業種の専任技術者を兼ねることは可能なのか。
実務上の取扱いと、行政庁が重視する判断ポイントを整理します。
1.専任技術者は「営業所ごとに1名」が原則
専任技術者は、その営業所に常勤して専任で配置されていることが前提です。
したがって、
- 同一人物が2つの営業所の専任になる
- 本店と支店の両方で専任技術者を兼任する
これらは原則不可となります。
行政庁は「専任性」を非常に重視し、常勤性・専従性を損なう状態は認めません。
2.1人で複数“業種”の専任を兼ねることは可能
営業所が1つの場合、
同一人物が複数業種の専任技術者になることは可能です。
例えば、
- 土木一式工事
- 舗装工事
- とび・土工工事
この3業種を1人が兼ねることは問題ありません。
ただし、行政庁が確認するのは次の2点です。
(1)資格または実務経験が、各業種の要件を満たしているか
複数業種を兼任する場合でも、
それぞれの業種で資格または実務経験の要件を満たしている必要があります。
例:
-「土木施工管理技士」→ 土木一式・とび土工・舗装など複数業種に対応
-「電気工事士」→ 電気工事のみ(他業種には適用されない)
業種ごとに要件が異なるため、自動的に横展開できるわけではありません。
(2)実際にその業種の技術的指導ができる体制か
行政庁は、形式だけでなく実態も確認します。
- 社内でその業種の工事を受注する計画があるか
- 技術者が複数業務をこなし、本当に指導監督できるか
- 技術的能力が裏付けられているか
これらに合理性があれば、複数業種の専任が成立します。
3.特定建設業の場合は要件がさらに厳しい
特定建設業の専任技術者は、
実務経験ではなく、資格が必須となる業種が多いため、
複数業種の兼任ができないケースがあります。
特に以下の業種では、資格対応の範囲が限定されるため注意が必要です。
- 建築一式
- 電気工事
- 管工事
- 電気通信工事
など
資格の適用範囲の広さによって兼任できるかどうかが決まると言えます。
4.1人が複数業種を兼ねる際に注意すべきポイント
(1)実務経験の業種区分が正確であること
実務経験で兼任する場合、
対象工事が本当にその業種に該当するかが重要です。
「土木だと思っていたら、とび・土工に該当する作業が多かった」という例は少なくありません。
(2)追加業種の申請時に裏付け資料が必要
複数業種を兼ねる場合、業種追加では
- 契約書
- 注文書
- 請求書
- 工事写真
などの証拠資料が必要です。
資料不足は不受理・補正につながるため、事前の整理が必須です。
(3)実態として指導が行えるかを見られる
行政庁は「形式だけの兼任」を嫌います。
業務過多で能力を発揮できない状態は不適切と判断される可能性があります。
5.結論|営業所が1つなら、複数業種の専任は“可能”
まとめると以下のとおりです。
- 営業所が1つなら、1人で複数業種を兼任できる(原則OK)
- 営業所が複数ある場合は兼任不可(専任性の欠如)
- 各業種の資格・実務経験要件を満たしていることが必須
- 資料の裏付けが必要で、実態として指導できる体制が求められる
業種の追加を検討する際は、資格の適用範囲・過去の工事の内容・実務経験の整理が重要になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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