
建設業許可を受けている事業者は、毎年「事業年度終了届」を提出する義務があります。
これは単なる事務手続きではなく、許可維持の根幹に関わる重要な届出です。ここでは、なぜ毎年の提出が求められているのか、その理由を整理します。
1 事業の実態を確認するため
行政庁は、許可業者が建設業を安定して継続できる体制にあるかを毎年確認しています。
その判断材料となるのが、事業年度終了届に含まれる次の書類です。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書(法人)
- 注記表
- 工事施工金額の内訳
これらにより、会社の財務状況・経営状況・工事実績が適正に維持されているかを把握できます。
2 許可要件を継続して満たしているか確認するため
建設業許可は「取得すれば終わり」ではありません。
要件を満たし続けているかが毎年チェックされます。
特に重視されるのは次のポイントです。
- 財産的基礎(自己資本)を維持しているか
- 経営業務管理責任体制が継続しているか
- 専任技術者が在籍しているか
- 社会保険加入状況に問題がないか
事業年度終了届の提出により、行政はこれらの継続性を確認できる仕組みになっています。
3 不正・不適切な業者を早期に把握するため
建設業は元請・下請を含む多くの関係者が関わる産業であり、不適切な業者が混在すると社会的影響が大きくなります。
そのため行政庁は、毎年届出を受けることで次のような兆候を把握します。
- 経営悪化による倒産リスクの増加
- 実態のないペーパーカンパニー化
- 技術者の不在
- 許可業者として不適切な状態の長期放置
これらを早期に察知するために、毎年の報告義務が制度として組み込まれています。
4 経営事項審査(経審)の前提となる資料を整えるため
公共工事を目指す場合、経営事項審査を受ける必要がありますが、その審査の基礎資料となるのが、事業年度終了届に添付する決算書類です。
毎年適正に届出を行うことで、
- 経審申請がスムーズになる
- 点数に影響する財務指標が正しく評価される
といった効果があります。
5 提出しないと「指導」や「許可更新不可」の可能性がある
事業年度終了届の提出は法律上の義務です。
提出しない場合、次のような不利益が生じる可能性があります。
- 行政庁からの指導・注意
- 更新時に「未提出期間」が問題視される
- 実態不明として許可更新が認められない可能性
行政は「継続的な事業実態」を最も重視するため、届出の未提出は重大な問題として扱われます。
6 まとめ
事業年度終了届は、“毎年必ず提出しなければならない”とされている重要書類です。
その理由は次のとおりです。
- 事業の実態を正確に把握するため
- 許可要件を満たし続けているか確認するため
- 不適切な事業者を早期に把握するため
- 経審に必要な基礎資料を整えるため
- 未提出は指導や更新不可につながるため
建設業許可は「継続性」が最も重視されます。
その維持のためにも、毎年の事業年度終了届は確実に提出することが求められます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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