建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」があり、特定建設業の許可を受けた業者には、一般建設業よりも重い義務が課されています。
特定建設業は、大規模工事を元請として受注し、多くの下請業者を使う立場になるため、下請保護や施工管理を徹底する必要があるからです。

特定建設業の義務を理解していないと、指導・監督処分の対象になることもあります。
ここでは、特定建設業者に課されている主な義務を整理して解説します。


1 特定建設業が必要になる場合

特定建設業許可が必要になるのは、元請として工事を受注し、下請に出す金額が一定以上になる場合です。

現在の基準は次のとおりです。

  • 下請契約の総額が 5,000万円以上
  • 建築一式工事の場合は 8,000万円以上

この金額以上になる場合は、一般建設業ではなく特定建設業許可が必要になります。

そして特定建設業者になった場合は、下請保護や施工管理について厳しい義務を守る必要があります。


2 下請代金の支払義務

特定建設業者には、下請業者を保護するための支払ルールがあります。

特定建設業者が注文者となる一定の下請契約では、

下請負人から引渡しの申出があった日から50日以内に、できる限り短い期間で支払期日を定めなければなりません。

また、支払方法についても

  • 長期手形の使用
  • 不当に遅い支払期日
  • 一方的な支払条件

などは禁止されています。

元請としての立場を利用して、下請を圧迫することは認められていません。


3 施工体制台帳・施工体系図の作成義務

特定建設業者が元請となり、下請契約の総額が

  • 5,000万円以上
  • 建築一式は8,000万円以上

となる場合には、

  • 施工体制台帳
  • 施工体系図

を作成する義務があります。

これは、

  • 元請・下請の関係
  • 技術者の配置
  • 工事の管理体制

を明確にするための書類です。

これを作成していない場合は、監督処分の対象になることがあります。

※公共工事では別の基準が適用される場合があります。


4 監理技術者の配置義務

特定建設業者が元請として工事を行い、下請契約総額が

  • 5,000万円以上
  • 建築一式は8,000万円以上

となる場合には、監理技術者を配置する必要があります。

監理技術者は、

  • 下請工事の施工管理
  • 技術的な統括
  • 品質確保

を行う責任者です。

さらに、請負代金額が

  • 4,500万円以上
  • 建築一式は9,000万円以上

となる工事では、監理技術者を専任で配置する必要があります。

技術者配置違反は、営業停止などの重い処分につながるため注意が必要です。


5 適正な下請契約を行う義務

特定建設業者には、下請契約についても厳しいルールがあります。

禁止されている例

  • 不当に低い請負金額
  • 契約書を作成しない
  • 一方的な契約変更
  • 不当なやり直し指示
  • 支払遅延

特定建設業は、下請業者を守る責任を負う許可といえます。

元請として工事を行う場合は、契約内容・支払条件・施工管理を適正に行う必要があります。


6 特定建設業は責任が重い許可

特定建設業は

  • 大規模工事を受注できる
  • 元請として仕事ができる

というメリットがありますが、その分

  • 支払義務
  • 技術者配置義務
  • 台帳作成義務
  • 下請保護義務

など、一般建設業より厳しいルールが課されています。

許可を取得した後も、許可を維持するための管理が非常に重要になります。

特に元請中心の会社は、特定建設業の義務を正しく理解しておくことが必要です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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