建設業の実務や許可判断において、「附帯工事(ふたいこうじ)」という言葉は頻繁に使われます。
しかし、法令上で明確に定義されている用語ではないため、どこまでが附帯工事に該当するのか分かりにくいと感じている事業者も少なくありません。

附帯工事は、建設業許可の要否や業種区分の判断に影響する重要な考え方です。
誤った理解のまま工事を請け負うと、無許可営業と判断されるリスクもあります。

本記事では、附帯工事の基本的な考え方と、実務上の注意点を整理します。


1 附帯工事の基本的な考え方

附帯工事とは、主たる建設工事を完成させるために、付随して行われる必要最小限の工事を指します。

ポイントは次の3点です。

  • 主体となる「主たる工事」が存在すること
  • 主たる工事の完成に不可欠であること
  • 規模・内容が主たる工事に比べて従たる位置付けであること

あくまで「主」があり、「附」がある関係である点が重要です。


2 附帯工事と建設業許可の関係

建設業法では、原則として請け負う工事の業種ごとに許可が必要です。
ただし、附帯工事については、一定の範囲で例外的な扱いがされます。

具体的には、主たる工事の許可業種を有していれば、附帯工事として付随する他業種の工事を一体として施工できると整理されています。

ただし、これは無制限に認められるものではなく、附帯工事の範囲を超える場合は、別途その業種の許可が必要となります。


3 附帯工事と判断されやすい具体例

実務上、比較的附帯工事と判断されやすい例は次のようなものです。

  • 内装工事に伴う軽微な電気配線の移設
  • 外壁改修工事に付随する足場の設置・撤去
  • 設備更新工事に伴う床・壁の部分的な復旧
  • 解体を伴わない範囲での既存設備の撤去作業

いずれも、主たる工事を行うために不可欠で、独立した工事として成立しにくい内容である点が共通しています。


4 附帯工事と認められにくいケース

一方で、次のような場合は附帯工事と認められにくくなります。

  • 他業種の工事が工事金額・工期の大部分を占めている
  • 主たる工事が形式的で、実質は別業種工事が中心
  • 附帯と称して、明らかに独立性の高い工事を請け負っている

このようなケースでは、
**「附帯工事ではなく、別業種工事の請負」**と判断される可能性が高くなります。


5 附帯工事の判断で重視される実務ポイント

行政庁の実務では、次の点が総合的に見られます。

  • 契約書における工事内容の記載
  • 見積書での工事内訳の構成
  • 工事金額の割合
  • 工事の技術的な主従関係
  • 実際の施工内容と工程

特に、契約書や見積書上の整理が曖昧だと、附帯工事として認められにくくなる傾向があります。


6 附帯工事を前提にする際の注意点

附帯工事を前提として工事を請け負う場合、次の点には注意が必要です。

  • 主たる工事が明確になる契約構成にする
  • 附帯工事の範囲を必要最小限に留める
  • 業種判断に迷う場合は事前に行政庁へ確認する

「附帯工事だから問題ない」と安易に判断せず、許可制度の趣旨に沿った整理ができているかを常に意識することが重要です。


7 まとめ

附帯工事は、建設業許可実務において非常に重要でありながら、判断を誤りやすい分野でもあります。

主たる工事との関係性、工事の実態、契約内容の整合性これらを丁寧に整理することが、トラブル回避につながります。

特に業種追加や新規許可を検討している事業者は、附帯工事の範囲を正しく理解しておくことが不可欠です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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