
赤伝処理とは、請求書や売上計上の内容に誤りがあった場合に、マイナスの伝票(いわゆる赤伝票)を起票して訂正する会計処理を指します。
主に、請求金額の誤り、二重計上、数量・単価の修正、契約内容の変更などが発生した際に用いられます。
建設業に限らず一般的な会計実務で使われますが、工事請負契約・出来高管理・追加変更工事が多い建設業では特に重要な処理といえます。
赤伝処理が必要になる主な場面
赤伝処理が行われるのは、次のようなケースです。
1.請求金額の誤りがあった場合
請求書発行後に、数量・単価・消費税率などの誤りが判明した場合、元の請求を取り消すために赤伝を起こします。
2.売上の二重計上が判明した場合
同一工事を誤って二度計上してしまった場合、片方を赤伝処理により取り消します。
3.工事内容の変更・減額が生じた場合
契約変更や協議により工事金額が減額となった場合、当初計上した売上を修正するために赤伝処理を行います。
4.請求取消・返金が生じた場合
民間工事などで請求自体が取り消しになった場合も、赤伝処理で帳簿上の整理を行います。
赤伝処理の基本的な考え方
赤伝処理のポイントは、**「元の取引を一度なかったことにする」**という考え方です。
誤った伝票を直接修正・上書きするのではなく、マイナス伝票で相殺することで、取引の履歴を明確に残すことが目的です。
この方法により、
- いつ、どの取引を、なぜ訂正したのか
- 金額がどのように修正されたのか
が帳簿上で追跡でき、後日の確認(監査・税務調査等)において説明しやすい処理となります。
なお、実務上は、赤伝処理は**元の仕訳を反対の内容で打ち消す「逆仕訳」**として処理されることが一般的です。
赤伝処理と訂正仕訳の違い
実務では「訂正仕訳」と混同されることがありますが、考え方には違いがあります。
- 赤伝処理
元の仕訳をそのまま残し、赤字(マイナス)の仕訳で取り消す方法(逆仕訳による相殺) - 訂正仕訳
正しい金額との差額のみを追加・減額仕訳として計上する方法
建設業では、請求書・契約書・出来高との整合性を重視するため、赤伝処理が選択される場面が多いのが実情です。
建設業における赤伝処理の注意点
1.請求書・契約内容との整合性
赤伝処理を行う場合、元の請求書番号や工事名を明確に紐づけることが重要です。
2.消費税・インボイス制度の取扱い
消費税額を含めた修正が必要になるため、処理方法には注意が必要です。
インボイス発行事業者の場合、誤りの修正か、値引き・返金などの「対価の返還等」に該当するかによって、修正した適格請求書や適格返還請求書の交付が問題となることがあります。
3.決算期をまたぐ場合の対応
決算・申告後に誤りが判明した場合は、影響額や内容に応じて、修正申告や更正の請求等の検討が必要になることもあります。
4.証憑書類の保存
契約変更書、覚書、協議記録など、赤伝処理の理由を説明できる資料を保存しておくことが重要です。
まとめ
赤伝処理は、単なる会計上の手続ではなく、取引の透明性を保ち、帳簿の信頼性を確保するための重要な処理です。
特に建設業では、契約変更や金額調整が発生しやすいため、「どの取引を、なぜ修正したのか」を明確に残す処理が求められます。
処理に迷う場合は、早めに専門家や関係機関に確認し、後から問題が生じないよう慎重に対応することが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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