公共工事や物品調達などにおいて、契約先を決定するために用いられる「入札制度」。その運用は、時代の要請とともに大きく変化してきました。ここでは、入札制度の主な推移を概観します。


◆ 昭和期:価格重視の「一般競争入札」

かつての入札制度は「最低価格落札方式」が基本。いかに安く契約できるかが最優先とされ、企業間の価格競争が激化する一方で、過剰なダンピングや品質低下の問題も発生しました。


◆ 平成期:談合問題と制度改革

1990年代から2000年代にかけて、公共工事をめぐる談合事件が社会問題化。これを受けて、以下のような改革が進められました。

  • 指名競争入札の見直し
  • 入札参加資格の厳格化
  • 電子入札の導入(ICT化)
  • 最低制限価格制度の整備

これにより、透明性・公正性の確保が図られ、談合抑止とともに制度の信頼回復が進められました。


◆ 現代:総合評価方式など“質”の重視へ

現在では、単なる価格競争ではなく、企業の技術力・実績・社会的貢献といった「質」も含めて総合的に評価する「総合評価落札方式」が主流となりつつあります。

また、近年では以下の点にも注目が集まっています:

  • 地域貢献や働き方改革の実施状況
  • BCP(事業継続計画)など防災対策の有無
  • SDGs・脱炭素対応の姿勢

◆ 今後の展望:デジタル化と倫理性の強化へ

今後は、さらにAIやブロックチェーン技術を活用した「不正のない入札」への進化、そして公正性を担保する倫理的なガイドラインの整備が進むと予想されます。建設業界においても、企業の“信頼”と“持続可能性”がより重視される時代へと向かっています。


▼ まとめ

時代主な特徴
     昭和 最低価格重視/談合が横行
      平成   談合排除/電子入札導入
       現代    総合評価/質と信頼性重視
        今後     AI・ブロックチェーン活用/倫理性の強化

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