建設業許可を取得・維持するためには、営業所ごとに「専任技術者」を配置することが法律で定められています。しかし、「本社に技術者がいれば大丈夫」といった誤解も多く、実際の運用で問題が生じるケースもあります。

この記事では、建設業における営業所専任技術者の基本から、注意点までをわかりやすくご紹介します。


■ 専任技術者とは?

専任技術者とは、建設業の営業所において、工事の見積・契約・技術的な説明などに対応できる資格を持った常駐者です。建設業法上、営業所ごとに「常勤でかつ専任」する技術者を1名以上配置することが義務づけられています。


■ 配置が必要な「営業所」とは?

建設業許可における「営業所」とは、単に登記された支店や出張所ではなく、

  • 請負契約の見積・締結などの実務を行う場所
  • 技術者が配置されている事務所

を指します。単なる資材置き場や現場事務所、工事のみを行う現場などは、営業所とはみなされません。


■ 専任技術者の「専任性」と「常勤性」に注意

① 専任性

専任技術者は、他の事業所や他の会社と兼務してはならないと定められています。

例えば、別の支店の専任技術者や、他社の役員を兼ねている場合は不可です。

② 常勤性

営業所に毎日出勤し、常時勤務していることが求められます。通勤距離が極端に長い場合や、実態として不在が多いと見なされると、許可更新時や監査で問題となります。


■ 営業所技術者の資格要件とは?

専任技術者になるためには、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

要件内容の一例
国家資格1級・2級施工管理技士、建築士 など
指定学科卒業+実務経験高専・大学で建築・土木等を専攻+3~5年の経験
実務経験のみ高卒や中卒の場合、10年~15年の実務経験

配置する業種ごとに認められる資格が異なるため、申請前に必ず確認が必要です。


■ よくある誤解と注意点

  1. 本社の技術者を、支店にも兼任させている
     →原則不可です。営業所ごとに1名ずつの専任が必要です。
  2. 在宅勤務で常勤していないが、名義上配置している
     →実態としての出勤がないと、監査や指導で問題になります。
  3. 短期的に退職者が出たが報告していない
     →専任技術者が不在の状態は無許可営業となるおそれがあり、速やかに補充または届出が必要です。

■ 専任技術者の変更が生じたときは?

  • 営業所ごとに30日以内の変更届が必要です。
  • 技術者の退職・異動・新規採用など、事情を問わず変更が生じたらすぐに対応しましょう。

まとめ

営業所における専任技術者の配置は、建設業許可を適法に維持するための基盤です。見落とされがちですが、実態が伴わない配置や、変更届の漏れは行政処分の対象となる可能性があります。

日々の運営の中で技術者の管理体制に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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吉田哲朗
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