〜その背景と今後の展望〜

近年、建設業界において利益率が上昇する傾向が見られています。コロナ禍後の景気回復や構造的な要因が複合的に作用し、かつての薄利多売のイメージから徐々に脱却しつつある建設業。今回は、その背景と今後の展望について解説いたします。

利益率上昇の主な背景

1. 賃上げと適正価格の定着

政府による「適正価格による受発注慣行の推進」や、公共工事設計労務単価の継続的な引き上げが、元請・下請を問わず適正な利益確保を促しています。これまで長年の課題とされてきた「過当競争による低価格受注」が緩和されつつあります。

2. 技術革新・省力化の進展

ICT施工、BIM/CIM、AI、ドローン、3Dスキャナーなどの技術導入が進み、現場の生産性が大幅に向上しています。これにより工期短縮・人件費削減が実現し、利益率の改善に直結しています。

3. 受注内容の高付加価値化

脱炭素・環境配慮型建築やインフラ老朽化対応の更新工事など、高度な技術・ノウハウを要する案件の比率が高まっています。これにより付加価値の高い工事が増え、利益率向上につながっています。

今後の建設業利益率の展望

今後も利益率の上昇傾向は続く可能性がありますが、その鍵を握るのは以下の要素です。

  • 人材確保と育成
    若手技術者不足が続く中、企業の教育投資や待遇改善が収益力の維持に不可欠です。
  • さらなるデジタル活用
    AI・IoTの進化による施工管理・工程最適化が、今後の利益率向上の大きな武器となります。
  • 持続可能な受注体制の構築
    適正価格受注・長期的パートナーシップの構築により、安定的な経営基盤を整えることが求められます。

まとめ

これまで「薄利多売」「労働集約型」とされてきた建設業界も、大きな転換期を迎えています。利益率の上昇は一時的な好景気によるものではなく、構造的な変化が背景にあります。今後も時代に適応した経営戦略が重要となるでしょう。

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