
建設業の会計で必ず出てくる重要な用語が 完成工事原価 です。決算書、決算変更届、経営事項審査などの書類を作成する際にも必ず確認される項目であり、理解が不十分だと数値の整合が取れなくなることがあります。ここでは、完成工事原価の意味、計算の考え方、注意点について実務の整理に基づいて解説します。
1.完成工事原価とは何か
完成工事原価とは、完成工事高として計上したものに対応する工事原価をいいます。
建設業では工事が長期間にわたることが多く、支出した費用をそのまま当期の経費にするのではなく、売上として計上した工事に対応する原価のみを計上する必要があります。そのため損益計算書では、完成工事高・完成工事原価・完成工事総利益という区分で表示されます。完成工事原価は売上に対応する費用であり、利益計算の基礎となる重要な数値です。
2.完成工事原価の基本的な計算の考え方
完成工事原価は次の考え方で整理します。
完成工事原価=期首未成工事支出金+当期工事原価発生額−期末未成工事支出金
期首未成工事支出金は前期から繰り越された未完成工事の原価、当期工事原価発生額は当期中に発生した材料費・労務費・外注費など、期末未成工事支出金は当期末時点でまだ完成していない工事の原価です。つまり、当期に売上として計上した工事に対応する原価のみを取り出したものが完成工事原価になります。なお、工事進行基準を採用している場合は、進行度に応じて売上と原価を対応させて計上します。
3.完成工事原価に含まれる費用
完成工事原価報告書では、完成工事原価は次の区分で整理します。
材料費、労務費、外注費、経費
経費には現場で発生するさまざまな費用が含まれ、機械経費、法定福利費、設計費、通信交通費、修繕費、消耗品費、現場管理費などが該当します。一方で、会社全体の管理費や営業費などは完成工事原価には含めず、販売費及び一般管理費として処理します。この区分を誤ると完成工事原価が過大になり、利益が少なく見えるなど財務諸表の整合が取れなくなります。
4.許可申請・決算変更届・経審で重要になる理由
完成工事原価は、建設業許可申請、決算変更届、経営事項審査などで必ず確認されます。特に経営事項審査では、完成工事高と完成工事原価の関係が正しく計算されているかがチェックされます。また申請書では、完成工事高の計上基準と完成工事原価の計上基準を記載する必要があります。数値の整合が取れていない場合、補正指示や再提出となることがあり、審査が遅れる原因になります。
5.よくある間違い
実務で多い誤りとして次のようなものがあります。未成工事を原価に含めてしまう、販管費を原価に入れてしまう、外注費の処理を誤る、工事ごとの原価管理ができていない、などです。建設業の会計は一般の会計と異なり、工事単位で原価を管理することが前提になります。この点を理解していないと、許可申請や経審で修正が必要になることがあります。
6.まとめ
完成工事原価とは、完成工事高として計上した工事に対応する原価をいい、建設業の財務書類では非常に重要な項目です。未成工事との区分、原価と販管費の区分、売上との対応関係を正しく整理することが必要です。これらが整っていないと、許可申請、決算変更届、経営事項審査のいずれにも影響するため、建設業特有の会計処理を理解しておくことが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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