1 老朽化インフラの現状

日本では高度経済成長期に整備された道路、橋梁、上下水道、トンネルなどが50年以上経過し、深刻な老朽化が進んでいます。国土交通省の調査によれば、2030年代には建設後50年以上経過する橋梁やトンネルが全体の半数以上に達するとされており、安全性の確保や維持管理コストの増大が社会的課題となっています。


2 公共工事と老朽化対策

これらの老朽化インフラに対応するため、国や自治体は大規模な修繕や更新工事を計画的に実施しています。災害に強い社会基盤を維持するためにも、公共工事の安定的な発注が欠かせません。しかし、予算や人材不足に加えて、適格な建設業者の確保が重要な前提条件となります。


3 建設業許可の役割

公共工事を受注するためには、建設業許可を取得していることが必須です。建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負うために求められる制度であり、業者の経営基盤や技術力を担保する仕組みとして機能しています。特に、社会的影響の大きいインフラ修繕では、許可を持つ業者にしか担えない役割が存在します。


4 一般建設業と特定建設業の違い

建設業許可には一般建設業特定建設業があります。

  • 一般建設業は、下請契約が3,000万円(建築一式工事は4,500万円)未満であれば元請として請け負うことが可能です。
  • 特定建設業は、これを超える大規模な工事を元請として受注する場合に必要です。

老朽化したインフラの大規模修繕や更新工事では、特定建設業の許可を持つ業者が中心的な役割を果たします。


5 経営事項審査との関係

公共工事の入札参加には、建設業許可に加え、**経営事項審査(経審)**の受審が必要です。経審では、

  • 経営状況
  • 技術職員の配置
  • 工事実績
    などが評価され、点数化されます。老朽化インフラの修繕工事を受注するには、許可を維持しつつ経審で高い評価を得ることが求められます。

6 許可維持の重要性

老朽化インフラの対応は、単発の工事ではなく継続的な事業として続きます。そのため建設業者にとって、

  • 毎年の事業年度終了届の提出
  • 財務基盤の安定化
  • 専任技術者の確保
    など、許可の維持管理が不可欠です。許可を失効すると、公共工事に参入できなくなるため、長期的な事業継続性を意識した経営が必要です。

7 今後の展望

人口減少に伴う労働力不足が懸念される中で、老朽化インフラへの対応は今後ますます重要性を増していきます。建設業許可制度を基盤とした信頼性の高い業者の育成と確保が、社会の安全と経済の安定に直結します。許可を持つ建設業者が技術力を高めつつ、持続的に公共工事を担うことが、これからの社会に求められる姿です。


まとめ

老朽化するインフラに対応するには、建設業許可を持つ業者の存在が不可欠です。特に特定建設業者は、大規模修繕において中心的な役割を担います。今後も社会基盤を守るためには、許可制度を適切に運用し、建設業者が安定して公共工事を担える環境を整えることが重要です。

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