1.建設業者が備えなければならない帳簿とは

建設業法では、営業に関する帳簿を整備・保存する義務が定められています。
この帳簿には、工事ごとの契約内容や収支の状況、原価計算など、事業運営に関する重要な情報が記録されます。
帳簿の整備は、経営の透明性を確保し、監督行政庁の検査に対応するための基本です。

主な帳簿として、次のようなものがあります。

  • 工事台帳(各工事の契約金額・着工日・完成日・請負金額などを記載)
  • 仕入帳・経費帳(材料費、外注費、労務費など)
  • 売上帳(工事ごとの請負収入を記録)
  • 現金出納帳・預金出納帳(日常の出入金を記録)
  • 固定資産台帳(機械・車両などの保有資産を管理)

これらの帳簿を日々記録・整理しておくことで、経営事項審査(経審)や決算変更届の作成時にもスムーズに対応できます。


2.帳簿記載のポイントと注意事項

帳簿に記載する内容は、「いつ・誰と・どのような取引をしたか」が明確に分かることが重要です。
特に建設業では、請負契約書との整合性や領収書・請求書などの裏付け資料との対応関係が求められます。

また、原価管理を行う際は、工事ごとに発生した経費を正確に分類し、工事原価明細書などで整理しておくことが望ましいです。
帳簿の内容に誤りや抜けがあると、税務・許可更新・経審などで不利益を受けるおそれがあります。

会計ソフトを利用する場合でも、入力内容の裏付けとなる証憑をきちんと保管することが必須です。


3.帳簿の保存期間と確認方法

建設業法上、帳簿は5年間の保存義務があります(法第40条)。
この期間は、各帳簿の作成日または最終記入日から起算します。
監督行政庁から帳簿の提示を求められた際には、すぐに提出できるよう整理しておくことが大切です。

帳簿の確認は、次のような流れで行われます。

  1. 定期的な内部点検
     月ごと・四半期ごとに、出納帳・工事台帳・経費帳などの整合性を確認する。
  2. 決算時の整合チェック
     決算書と工事台帳の内容が一致しているか確認。経審や許可更新の資料にも活用。
  3. 行政庁による立入検査対応
     帳簿・契約書・領収書などの提示を求められる場合があり、保存状況を確認される。

こうした管理を怠ると、監督処分の対象となることもあります。帳簿の整備は、企業の信頼性を守るうえで不可欠です。


4.効率的な帳簿管理のために

現在では、電子帳簿保存法の要件を満たせば、帳簿を電子データで保存することも可能です。
ただし、スキャナ保存や電子取引データの保管には、改ざん防止措置や検索機能の確保が必要です。

また、建設業者に特化した会計ソフトを導入することで、工事原価の自動集計・見積比較・経審対応資料の作成などが容易になります。
紙とデジタルを併用しながら、バックアップを確保しておくことが理想です。


5.まとめ

建設業の帳簿は、単なる経理記録ではなく、経営管理・法令遵守・信用維持の基盤です。
日々の記録を正確に行い、定期的に内容を確認しておくことで、行政手続きや経営判断にも役立ちます。
帳簿の整備と保存体制を見直すことは、建設業者にとっての信頼性向上の第一歩といえます。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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