一括下請負の禁止とは

建設業法では、請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするか問わず、一括して他人に請け負わせてはならないと規定しています。

一括下請負が行われると、発注者の受注者への信用を意味のないものにするおそれが生じるからです。

一括下請負に該当するのは、①請け負った建設工事の全部またはその主たる部分を、一括して他の業者に請け負わせる場合、または、②請け負った建設工事の一部であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を、一括して請け負わせる場合です。

ただし、これらの場合に該当しても、元請人がその下請工事の施工に「実質的に関与」していると認められるときには、一括下請に該当しないとされています。

「実質的に関与」とはどのような場合か

一般的に、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導などを行っていれば、下請工事の施工に「実質的に関与」しているものと認められ、一括下請の禁止に違反しないと判断されます。

しかし、単に現場に技術者を置いているだけでは、「実質的に関与」しているとはいえません。また、現場に元請負人との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を有する適格な技術者を置かない場合も、「実質的に関与」しているとはいえないことに注意します。

一括下請負人の禁止の例外

一括下請負人の禁止の例外として、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の適用対象となる公共工事は例外なく禁止ですが、民間工事については許されている場合があります。

具体的には、一括下請負を行う前に、発注者から書面による承諾を得た場合です(その場合であっても共同住宅の新築工事は禁止されています)。元請負人は発注者から承諾を得ていれば一括下請負ができます。

この場合の発注者とは、建設工事の最初の注文です。下請負人が請け負った工事について一括して再下請負で行う場合も、発注者の書面による承諾を受けなければなりません。