建設業者が下請を行ったとしても下請法は適用されません。建設業者が下請を行った場合には建設業法と独占禁止法が適用されます。

下請法とは

下請契約は、建設業法で「建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と、他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部または一部について締結される請負契約をいう」と定義されます。

この定義にある「建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者」を元請負人、「他の建設業を営む者」を下請負人といいます。最初に発注者から工事を請け負った者が、元請負人として、一部の工事を下請に出す場合に、一次下請負とする請負契約を下請負契約といいます。

一次下請負人が元請負人として二次下請負人と交わす契約も同様です。

下請や一人親方を使うときの注意点

下請契約をする場合は、請け負った工事のすべてを下請にさせること(丸投げ)は禁止さています。

また、1件n請負代金が500万円以上の建築一式工事以外の工事を行う場合、一人親方であっても建設業法の許可がなければ工事を請け負うことができないため、許可を持っていない一人親方に発注することが難しいケースも生じます。

建設業法に違反した場合

建設業者が、建設業法及び他の法令に違反する行為等の不正行為を行った場合、監督官庁により建設業法上の監督処分が行われます。

①指示処分

監督官庁が建設業者に不正行為を是正するためにしなければならないことを命ずるものです。

②営業停止処分

指示処分に従わない場合営業停止処分になります。営業停止期間は1年以内で監督官庁が決定します。

③許可の取消処分

営業停止処分に従わない場合や不正行為に関する建設業者の情状が特に重いと判断された場合があります。

指名停止措置や公正取引委員会の処分

建設業法以外の処分として指名停止措置があります。これは発注者が、競争入札参加資格登録をしている業者に対し、契約の相手方として不適当であると判断した場合、一定期間、競争入札に参加させない措置です。

不適当な相手であるかどうかは、発注者が独自に要領や運用基準を定めて、それに従って判断します。

下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準

①下請負人が工事を完了してから正当な理由なしに20日以内に検査を完了しないこと。

② ①の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人の申し出があったのに、正当な理由なしに直ちに当該建設工事の目的物の引き渡しを受けないこと。

③注文者から請負代金の支払いを受けたときに、正当な理由なしに注文者から支払を受けた日から起算して1か月以内に、下請負人に下請代金を支払わないこと。

④特定建設業者(規模の大きな工事を下請負人に発注できる建設業者)が注文者となった下請契約における下請代金を、②の目的地の引渡しの申し出の日から50日以内に支払わないこと。

⑤特定建設業者(規模の大きな工事を下請負人に発注できる建設業者)が注文者となった下請契約に係る下請代金の支払につき、②の目的地の引渡しの申し出の日から起算して50日以内に、一般の金融機関による割引を受けることが困難な手形を交付し、下請負人の利益を不当に害すること。

⑥自己の取引上の地位を利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする下請契約を締結すること。

⑦下請契約の締結後、正当な理由がないにもかかわらず、下請代金の額を減額すること。

⑧下請契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、建設工事に使用する資材や機械器具またはそれらの購入先を指定し、これを下請負人に購入させ、下請負人の利益を害すること。

⑨建設工事に必要な資材を購入させた場合に、正当な理由もないのに下請代金の支払期日より早い時期に当該資材の対価を支払わせ、下請負人の利益を不当に害すること。

⑩元請負人が①から⑨までに掲げる行為をした場合に、下請負人がその事実を公正取引委員会などに知らせたことを理由として、下請負人に対して不利益な取扱いをすること。