近年、建設現場における効率化・省力化が急速に進む中で、「遠隔臨場(えんかくりんじょう)」という新しい技術が注目を集めています。これは、監督員が現場に赴かずとも、遠隔地から臨場確認を行える仕組みのことです。ICTを活用したこの方法は、国土交通省も導入を推奨しており、今後の標準業務になる可能性があります。


■ 遠隔臨場の概要

遠隔臨場とは、建設現場での「中間検査」や「材料確認」などを、Webカメラやスマートフォン、ウェアラブルカメラ等の映像機器を通じてリアルタイムに確認・記録する仕組みです。

従来は、監督員や発注者が直接現場に足を運んでいましたが、遠隔臨場により**「移動時間ゼロ」かつ「効率的な工程管理」**が可能になりました。


■ 国交省の取り組みと指針

国土交通省は2020年より遠隔臨場のガイドラインを発表し、対象工事や実施手順、撮影機器の仕様などを定めています。
特に以下の点が重要です:

  • 事前に遠隔臨場実施計画書を作成
  • 通信環境の確保
  • 証拠としての録画保存
  • 対話形式の確認(双方向通信)

■ 遠隔臨場のメリット

項目内容
効率化現場への移動が不要になり、時間とコストを削減
柔軟性現場のスケジュール変更にも対応しやすい
記録性映像データとして残せるため、証拠性が高い
安全性危険区域に入らずに確認できるため、安全管理にも有効

■ 実際の活用シーン

  • 土工の締固め確認
  • 鉄筋の配筋検査
  • 資材搬入・設置の立ち会い
  • 道路や河川工事での測量確認

中でも地方自治体の公共工事で活用が進んでおり、**工事監理の「省人化」と「標準化」**の実現に貢献しています。


■ 注意点と導入のハードル

遠隔臨場は多くのメリットがありますが、導入には以下のような注意点もあります:

  • 安定したネット環境の確保
  • 現場スタッフのICTリテラシー
  • カメラの視野・解像度に関する工夫

また、実施するには発注者との合意技術的サポート体制の整備が不可欠です。


■ まとめ:今後の現場監理に欠かせない「遠隔臨場」

遠隔臨場は、単なる一時的な措置ではなく、建設業における働き方改革やデジタル化推進の鍵となる仕組みです。
まだ導入していない事業者様も、早めに体制整備を進めることで、業務効率化だけでなく受注競争力の強化にもつながるでしょう。

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吉田哲朗
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