〜最新の木造建築技術〜

近年、環境への配慮や持続可能性の観点から「木造高層ビル」に注目が集まっています。しかし、そもそも木造で高層ビルを建てることは可能なのでしょうか?本日は、最新の木造高層建築技術についてご紹介します。

木造高層ビルが注目される理由

従来、高層ビルと言えば鉄筋コンクリートや鉄骨造が主流でした。しかし、木造には次のようなメリットがあります。

  • 二酸化炭素の固定
    木材は成長過程で二酸化炭素を吸収・固定するため、建築資材として使うことで炭素貯蔵庫の役割を果たします。
  • 省エネルギー性
    木材は熱伝導率が低く、断熱性能に優れています。
  • 軽量性
    同じ強度を持つ場合でも、鉄やコンクリートに比べて重量が軽く、基礎への負担が小さいです。
  • 再生可能資源
    持続可能な森林管理により、木材は再生産可能です。

高層木造を可能にする技術

① 集成材(Glue Laminated Timber, GLT)

複数の木材を接着剤で貼り合わせて作る「集成材」は、ばらつきのある天然木に比べて品質が安定しており、大きな断面・長尺材の製造が可能です。

② クロス・ラミネーテッド・ティンバー(Cross Laminated Timber, CLT)

板材を繊維方向を交互に重ねて積層接着したパネルです。耐震性・耐火性・寸法安定性に優れ、高層建築の床・壁・梁などに使用されています。

③ 耐火被覆・炭化層設計

木材は燃えやすいイメージがありますが、火災時には表面が炭化して内部の構造を守る性質があります。さらに耐火被覆や自動消火システムと併用することで、安全性を高めます。

④ ハイブリッド構造

木材だけでなく、鉄骨やコンクリートと組み合わせた「ハイブリッド構造」により、高層化と安全性の両立を図ります。例えば、芯柱やエレベーターシャフトを鉄筋コンクリートとし、それ以外を木造とする設計も行われています。

実際の事例

  • ミルウォーキー「アセンブルド(Ascent)」
    アメリカ・ウィスコンシン州に建設された25階建ての木造高層ビル。CLTとGLTを用いて高さ86.6mを実現しています。
  • ノルウェー「マジュルスターネット(Mjøstårnet)」
    世界最高の85.4mの木造高層ビル。集成材とCLTによる耐震・耐火設計が特徴です。

日本でも拡がる木造高層ビルの可能性

日本でも法改正により、木造建築の高層化が進められています。2021年には「脱炭素社会の実現に向けた木材利用促進法」が施行され、公共建築物のみならず民間でも木造高層化が検討されています。

ゼネコン各社も研究を進めており、今後は都市部でも木造高層ビルが珍しくなくなる日が訪れるかもしれません。

まとめ

木造高層ビルは、先端技術と環境配慮が融合した新たな建築のかたちです。技術革新と法整備が進む今、木材の可能性はますます広がっています。今後の動向にぜひ注目していきたいですね。

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吉田哲朗
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