:その現状と今後の課題

増加傾向にある建設業の倒産

近年、建設業界における倒産件数が増加傾向にあります。特に資材価格の高騰、人手不足、そして受注競争の激化が経営を圧迫する要因となっています。中小建設会社では、長年続いてきた下請け中心のビジネスモデルが通用しにくくなり、資金繰りの悪化から倒産に至るケースも少なくありません。

加えて、昨今の金利上昇や公共事業予算の変動も経営に影響を与えています。資金調達コストの増加は、特に自己資本の薄い中小企業にとって大きな負担となります。

倒産に至る主な要因

建設業の倒産にはいくつかの典型的な原因があります。

  • 資材・燃料費の高騰
     鋼材やセメント、燃料などの価格が上昇し、工事原価が急激に膨らんでいます。見積もり段階で予測できなかったコスト上昇が、契約後に経営を直撃するケースが多発しています。
  • 慢性的な人手不足
     若手の建設業離れが進み、職人・技術者の確保が困難になっています。これにより、受注できる工事の量が制限されたり、人件費が上昇して利益率が低下する事態に陥ります。
  • 過度な受注競争
     赤字覚悟での受注、無理な値引きが利益を圧迫します。元請の価格引き下げ要請に応じざるを得ない場面も多く、体力を削られ続けた結果、倒産に至ることもあります。
  • 下請け依存のリスク
     元請け会社の倒産や支払い遅延が連鎖的に影響するケースもあります。特に大手に依存している企業ほど影響が大きくなります。

今後に向けた対策と取り組み

今後、建設業が安定的に経営を続けていくためには、いくつかの重要な取り組みが求められます。

  • 適正な受注価格の確保
     元請・発注者側に対しても適正価格での契約を働きかけ、価格交渉力を高めていくことが必要です。
  • 経営の多角化
     例えば、解体、リフォーム、再生可能エネルギー関連工事など新たな事業分野への進出がリスク分散につながります。
  • 人材確保と育成
     外国人技能実習生の活用、若年層への職業訓練、魅力ある職場環境づくりがカギとなります。
  • 資金管理の強化
     受注の際の採算管理、資金繰り表の徹底管理、必要に応じた公的支援制度の活用など、財務基盤を安定させる取り組みが重要です。

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