建設業を始めるにあたって、まず必要になるのが建設業許可の取得です。しかし、許可を取得したからといって、それで業務が完結するわけではありません。むしろ、そこからが本当のスタートと言えるでしょう。

1.許可後の定期的な「維持管理」

建設業許可は、一度取得したら永久に有効というものではなく、5年ごとの「更新」が必要です。更新申請を怠ると、せっかく取得した許可が失効してしまいます。また、決算変更届(事業年度終了後4ヶ月以内)や、事業内容に変更があった場合の各種変更届も求められます。

こうした法定手続きは、見落としやすいにもかかわらず、提出しないことで更新拒否や指導対象となることもあるため、日頃からしっかりと管理しておく必要があります。

2.現場の運用と許可との関係

許可業種ごとに施工できる工事の範囲が異なります。例えば「内装仕上工事業」の許可で「大工工事」を請け負うと、無許可営業と見なされる恐れがあります。また、元請や公共工事では許可の有無・内容が厳格にチェックされるため、受注機会を逃すことにもつながりかねません。

実際の現場で「どの業種で」「どんな工事を行うか」ということを常に確認し、許可内容と照合しながら運用することが求められます。

3.法改正や新制度への対応

建設業界では法改正が頻繁に行われます。最近では「担い手三法」「働き方改革関連法」などの影響で、技能者の処遇改善や時間外労働の上限規制などが導入されており、これらに適切に対応する必要があります。

また、電子契約・電子申請などデジタル化への移行も進んでおり、従来の書面中心の運用だけでは対応しきれない局面も増えています。法改正や新制度の動向に敏感であることが、経営リスクの回避につながります。

4.信頼を積み上げる「見える化」と継続対応

許可を持っていることは「スタート地点」に過ぎません。元請業者や施主との信頼関係を築くには、実績やコンプライアンスの順守、技術力の可視化が重要です。

例えば、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録ISOの取得、技術者の育成・配置なども含めた中長期の取り組みが、今後の評価につながっていきます。


以上のように、建設業の許可取得は「入口」であり、そこから日々の法令遵守や経営管理、現場対応、制度変更への迅速な対応を積み重ねていくことが求められます。

これらを意識し、継続的な体制整備を行っていくことが、安定した経営と信頼の獲得に直結するのです。

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吉田哲朗
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