
建設業を営むにあたり、多くの方が最初に直面するのが「建設業許可の取得」です。しかし、実際に申請を進めようとすると、その複雑さや準備の多さに圧倒されるケースが少なくありません。今回は、建設業許可の取得が難しいとされる主な理由について整理してご紹介します。
1.多岐にわたる許可要件
建設業許可には、大きく分けて以下のような要件があります。
- 経営業務の管理責任者
- 専任技術者
- 財産的基礎(500万円以上の自己資本など)
- 欠格事由に該当しないこと
- 事務所の確保と実態
これらの要件をすべて満たす必要があり、どれか一つでも欠けていれば許可を得ることはできません。とくに、経営業務管理責任者や専任技術者の要件は、実務経験年数や保有資格、過去の実績など細かく定義されており、証明書類の整備も求められます。
2.申請書類が膨大で専門的
建設業許可の申請には、数十ページにわたる書類が必要です。法人であれば定款や登記簿謄本、決算書類に加え、技術者や管理責任者の履歴書、証明書、契約書の写しなど、非常に多くの添付資料を用意しなければなりません。
さらに、それらの書類はただ揃えるだけでなく、記載内容や整合性にも注意が必要です。たとえば、実務経験の証明には、工事の請負契約書・注文書・請求書などを「5年間にわたり継続的に提出」できることが求められます。
3.地方自治体ごとの審査基準の違い
建設業許可は国の制度でありながら、実際の審査は都道府県ごとに行われます。そのため、自治体によって必要な書類や求められる証明の詳細が異なることが多く、「前回はこれで通ったのに、今回は通らない」というケースも存在します。
とくに、技術者の実務経験年数のカウント方法や、法人の履歴の見方などは、担当者の裁量によって判断される部分もあり、予想外の修正を求められることもあります。
4.法改正や通知の影響を受けやすい
建設業法は定期的に改正され、通知も頻繁に出されます。これにより、制度や要件が変更になることがあり、最新情報を常に把握していないと、古い情報で申請してしまう可能性があります。
たとえば、最近では「経営業務の管理責任者」の要件が緩和された一方で、実務経験の証明方法が厳格化されるなど、取得に必要な条件が大きく変わることも珍しくありません。
5.許可取得後の維持・更新も必須
建設業許可は「取得したら終わり」ではありません。毎年の事業年度終了届、5年ごとの更新申請、変更があった場合の変更届など、取得後も継続的な維持管理が求められます。
これらの届出を怠ると、許可の取り消しや更新拒否といったリスクが生じるため、事業者は法令遵守を徹底しなければなりません。
まとめ
建設業許可の取得が難しいとされるのは、制度自体が「信頼できる事業者のみが工事を請け負えるようにする」ために設計されているからです。手間がかかる反面、許可を得ることで社会的信用を高め、受注の幅を広げることができます。
これから建設業を本格的に始めたいとお考えの方は、許可制度の仕組みを正しく理解し、早めに準備を進めることをおすすめします。
- 建設業許可特化事務所
- 行政書士吉田哲朗事務所
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