1 インフラ老朽化と点検需要の高まり

高度経済成長期に整備された道路、橋梁、トンネル、上下水道などのインフラは、現在多くが耐用年数を迎えつつあります。国土交通省の統計でも、建設から50年以上を経過する施設は今後急速に増加するとされ、定期的な点検・メンテナンスの重要性は年々高まっています。特に、劣化を見逃すことで事故や大規模な補修工事につながるため、点検業務は社会的に不可欠な役割を担っています。

2 建設業許可と点検業務の位置づけ

建設業許可制度は、工事の施工を行う業者を対象に設けられた制度です。法律上「建設工事」とは、土木一式工事や建築一式工事を含む29業種に分類されており、点検や調査そのものは原則として建設工事には該当しません。そのため、単純な「点検業務」や「調査業務」を行うだけであれば、建設業許可の対象外とされています。

ただし、点検の結果として軽微な補修を行う場合や、部材の交換・補強など工事行為に該当する作業を伴う場合には、該当工事の建設業許可が必要となります。例えば、橋梁点検後に鋼製部材を製作から取付まで行って交換する場合には「鋼構造物工事業」に該当します。一方、既製部材を組み立てるだけであれば「とび・土工・コンクリート工事業(鉄骨組立)」に分類されるケースもあります。また、トンネルに関する修繕は「内装仕上工事業」ではなく、内容によって「とび・土工・コンクリート工事業」(例:ライニングや防水)や「機械器具設置工事業」(例:換気設備の交換)といった他の業種に区分されます。

3 点検人材の確保と業界の課題

インフラ点検は、国家資格である技術士や土木施工管理技士の有資格者が中心となるケースが多いものの、必ずしも資格者に限らず経験を積んだ点検員が実務を担っています。近年はドローンやAIを活用した点検方法も普及しつつありますが、現場での目視・打音検査といった人的作業は依然として欠かせません。

問題となっているのは、点検を専門に行う人材の不足です。人口減少や技能労働者の高齢化が進むなか、インフラ点検分野も建設業全体と同様に人材確保が難しい状況にあります。点検業務に従事できる人材を補充することは社会的に求められていますが、即戦力となる人材は限られています。

4 点検業者の補充と建設業許可の可能性

建設業許可においては「工事の施工を請け負うこと」が前提です。そのため、点検業務単体の事業者を「建設業許可業者」として補充することは制度上できません。しかし、既存の建設業者が自社の事業として点検部門を設け、調査から補修まで一貫して対応する体制を整えることは可能です。この場合、許可業種の範囲内であれば、点検と工事を組み合わせた事業展開ができます。

一方で、点検のみを専門に行う業者は、建設業許可ではなくコンサルタントや調査業務の分野に分類されることが多いです。したがって、建設業許可制度で「点検業者」を直接補充する形は難しいといえます。ただし、実務上は建設業者と点検業者が連携する体制を築くことが求められており、官民連携の入札や共同事業体(JV)で対応するケースも増えています。

5 まとめ

インフラ老朽化に伴い点検メンテナンス人材の重要性は高まっていますが、建設業許可制度の枠組みにおいて「点検業者」を直接補充することはできません。あくまでも建設業許可は工事施工を対象としており、点検はその前段階にあたる業務です。ただし、建設業者が自社で点検体制を整えることは可能であり、点検と補修を一体的に進める取り組みが今後ますます求められるでしょう。

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吉田哲朗
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