1 経営事項審査と経営分析の関係

建設業者が公共工事を直接請け負うためには、**経営事項審査(経審)**を受けることが必須となります。経審は、建設業法に基づき経営状況や技術力、社会性などを数値化する制度で、公共工事発注者に対して業者の客観的な評価指標を提供するものです。
この経審を受ける前提として必要となるのが、経営分析結果通知表です。

2 経営分析結果通知表とは

経営分析結果通知表とは、建設業者の財務諸表をもとに第三者機関が実施する経営状況分析の結果をまとめた通知書です。
ここでは、自己資本比率や利益率、負債比率などの数値を基に、**Y点(経営状況評価点)**が算出されます。このY点は、最終的に総合評定値(P点)に組み込まれるため、公共工事を受注するための競争力に直結します。

3 経営状況分析の手続き

経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関に依頼して行います。
必要書類としては、主に以下のものが挙げられます。

  • 財務諸表(建設業法に基づく様式で作成されたもの)
  • 建設業許可証明書類
  • 申請書一式

分析結果は通常、約1〜2週間程度で通知表として交付されます。

4 経営分析結果通知表の活用

通知表で得られるY点は、経審における重要な評価項目です。自己資本が充実している、利益率が高い、負債が少ないといった財務基盤の健全さが数値化されるため、業者の信用力を測る基準となります。
また、通知表は経審の提出書類の一部として必須であり、通知表がなければ経審の申請自体ができない仕組みとなっています。

5 注意点と改善策

経営状況分析では、過去の財務内容がそのまま評価に反映されます。したがって、決算書の正確性財務改善の取組みが非常に重要です。
例えば、短期借入金の返済、利益率の改善、固定資産の圧縮などを行うことで、分析結果の数値を向上させることができます。
また、通知表の内容を毎年確認し、弱点となる指標を把握することが、次回の経審に向けた準備につながります。

まとめ

経営事項審査を受けるには、まず経営分析結果通知表の取得が出発点となります。財務諸表を正しく作成し、分析結果を理解したうえで、経営改善につなげていくことが重要です。通知表は単なる提出書類ではなく、自社の財務健全性を客観的に示すツールとして、積極的に活用することが求められます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、
公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

申請なら建設業申請特化の行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。

個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
専任技術者要件の10年以上の証明の実績多数
経営業務の管理責任者の請負証明に親切・丁寧に対応
建設業29業種に対応
金看板取得最短3日で申請!

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗