1 木造ビルがもたらす新しい都市のかたち

近年、都市の高層ビルといえば鉄骨やコンクリートが主流でしたが、「木造ビル」という新しい潮流が世界的に注目されています。
木は自然素材でありながら、現代技術の進歩によって高層建築にも対応可能な強度
を持つようになりました。
鉄やコンクリートの使用を減らし、自然素材を活かすことで、都市の中に“森林”を再現するような構想が進んでいます。

木造建築が都市に広がることで、街並みに温もりが生まれるだけでなく、CO₂排出の抑制にもつながる点が注目されています。


2 CO₂を吸収する建物という発想

木は生きている間だけでなく、伐採後も内部に炭素を固定する性質を持っています。
つまり、木造建物が建ち並ぶこと自体が、都市に“炭素を貯蔵する空間”をつくり出すことになります。
鉄骨やコンクリートと比べると、製造段階でのCO₂排出量も大幅に少ないため、環境負荷の低い建築資材として評価が高まっています。

また、木造建築の増加によって林業の活性化が期待され、伐採・植林の循環サイクルが持続的に機能する仕組みも整いつつあります。
日本の森林資源は成熟期を迎えており、この木材利用を進めることが、国内の資源循環と地域経済の再生にも貢献するのです。


3 構想ビルが木造で可能になる時代

かつては「高層ビル=鉄骨構造」が常識でしたが、現在では**CLT(直交集成板)**などの新技術により、木造でも大規模建築が可能になっています。
CLTは木材を繊維方向が交差するように積層して圧着したパネルで、強度と耐火性に優れ、設計の自由度も高いのが特徴です。

東京や大阪でも、10階建て以上の木造ハイブリッドビルの計画が進んでおり、海外では40階を超える木造超高層ビルの構想も現実化しています。
これらのプロジェクトは、「都市に森林を取り戻す」という理念のもと、都市と自然の共生を形にする試みとして位置づけられています。


4 これからの建設業に求められる視点

木造ビルの普及には、構造技術だけでなく、防火・耐震・法令整備といった多面的な対応が必要です。
また、木材の品質管理や供給体制の確立、設計段階でのLCA(ライフサイクルアセスメント)など、持続可能な仕組みづくりが欠かせません。

今後、建設業界は「環境に配慮した素材選び」と「新技術の積極活用」を両立させる時代へと進んでいくでしょう。
木造ビルは、単なる建築物ではなく、都市が呼吸する未来の象徴といえます。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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吉田哲朗
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