
建設業許可申請や更新、業種追加の際に提出する工事経歴書では、「どの時点の工事を記載できるのか」が実務上よく問題になります。
特に混乱しやすいのが、工事完成基準と工事進行基準の違いです。
本記事では、工事経歴書に記載可能な基準を整理し、実務で注意すべきポイントを解説します。
工事経歴書の基本的な位置づけ
工事経歴書は、過去の施工実績を示すための書類です。
目的は次の点にあります。
- どの業種の工事を行ってきたか
- 実際に工事を請け負い、施工している実態があるか
- 許可業種と工事内容が一致しているか
したがって、**記載する工事が「実態のあるものか」**が重視されます。
工事完成基準とは何か
工事完成基準とは、工事が完了した時点で売上・実績として認識する方法です。
特徴
- 工事がすべて完了している
- 引渡しが済んでいる
- 請負金額が確定している
この基準で認識した工事は、工事経歴書に問題なく記載可能です。
特に、
- 小規模工事
- 工期が短い工事
では、完成基準が一般的です。
工事進行基準とは何か
工事進行基準とは、工事の進捗割合に応じて売上や実績を認識する方法です。
特徴
- 工事が継続中である
- 工期が長期に及ぶ
- 決算期をまたぐ工事である
建設業では、長期工事において工事進行基準が採用されるケースもあります。
工事進行基準の工事は経歴書に書けるのか
結論から言うと、原則としては完成した工事の記載が基本です。
ただし実務上、次の条件を満たす場合には、工事進行中であっても記載が認められることがあります。
実務で見られる判断ポイント
- 実際に相当程度の工事が進行している
- 契約書・注文書などで工事内容が明確
- 工事写真や出来高資料で実態が説明できる
- 架空や名義貸しと疑われる内容でない
つまり、形式ではなく実態重視で判断されます。
注意すべき実務上のポイント
工事進行基準の工事を記載する場合、
次の点には特に注意が必要です。
① 金額の整合性
出来高と請負金額の関係が不自然でないか。
② 工期の合理性
着工から記載時点までの期間が短すぎないか。
③ 他書類との整合
決算書、請求書、契約書との内容が一致しているか。
少しでも不自然な点があると、追加資料や説明を求められる原因になります。
まとめ
工事経歴書では、工事完成基準が原則であり、工事進行基準は例外的な扱いと考えるのが安全です。
重要なのは、
- 実際に工事が行われていること
- 書類全体に矛盾がないこと
形式的な基準よりも、**「説明できるかどうか」**が問われます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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