建設業を営む法人・個人事業主には、事業年度が終了した際に「事業年度終了報告書(いわゆる事業年度終了届)」を提出する義務があります。この提出期限が「決算から4ヶ月以内」と定められていることには、明確な意味があります。今回はその背景や理由について詳しく解説します。


1.「経営事項審査」の有効性維持のため

建設業の許可を持つ事業者が公共工事の入札に参加するためには、「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。
経審は、直近の決算に基づいて評価されるため、最新の財務内容をもとに審査が行われることが重要です。

そのため、事業年度が終了してから時間が空きすぎると、経審で使用される情報が古くなり、適切な評価ができなくなってしまいます。
これを防ぐために「決算から4ヶ月以内」という提出期限が設けられているのです。


2.「財務内容」の信頼性を確保するため

建設業は、元請・下請を問わず金額の大きな契約を扱う業種です。
発注者や金融機関にとって、建設業者の財務状況が直近のものであることは、信用判断に直結します。

4ヶ月以内に提出された財務諸表は、まだ確定申告と時期が近く、正確性・信頼性が高いと評価されます。
これにより、審査側(行政)も透明性ある情報管理が可能になります。


3.「法令での統一的運用」の観点

建設業法施行規則により、事業年度終了後4ヶ月以内に届出書を提出しなければならないと規定されています(※第11条)。
これは全国一律のルールであり、都道府県による運用の違いがないよう、法令で統一された期限が設けられています。

つまり、期限を過ぎてしまった場合は、届出義務違反として扱われ、行政指導や更新時の影響を受ける可能性もあるのです。


4.許可更新・業種追加申請のタイミング調整

建設業許可の更新や業種追加を行う場合、最新の財務内容を用いた事業年度終了届が必要になります。
仮にこの提出が遅れると、更新手続きそのものに支障が生じ、許可の維持にも影響が出てきます。

そのため、「4ヶ月以内」に届け出ることで、許可制度との整合性が保たれ、円滑な行政手続きが可能となります。


5.経理処理や税務申告とのスムーズな連動

一般的に、法人は決算から2ヶ月以内に税務申告を行います。
それを受けて建設業の届出はさらに2ヶ月以内、つまり合計4ヶ月以内というスケジュールが合理的とされています。

会計処理の流れとしても無理がなく、経理担当者が混乱せずに対応できるよう配慮された制度設計といえます。


まとめ

建設業における「事業年度終了届」の提出期限が4ヶ月以内とされているのは、単なる期限設定ではなく、経営審査や行政手続きの正確性・信頼性を守るために必要な制度的要請です。

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