
1 建築一式工事は「企画・調整型」の業務が中心
建築一式工事の現場では、設計者・元請・専門工事会社・施主との 調整や工程管理 が比重を占めます。実作業の発注や監督こそ行いますが、細部の施工は下請に任せることが多く、自社名義の請負契約書や出来高資料が残りにくい という構造的な特徴があります。
2 工事書類の名義は施工会社側に残る
企画・調整業務では、契約書・注文書・明細書・完成図書などの「発行主体」は下請けや設計事務所になるのが一般的です。結果として、自社保管の帳票では 「誰がどの工事をどの規模で行ったか」 を10年分連続して示せず、役所が要求する客観資料を満たせません。
3 技術経歴証明は“施工実績”が必須
専任技術者の実務経験は、工事を直接請け負った実績 を証明することで認定されます。企画や工程調整のみでは「施工実績」と見なされず、役所からは不十分 と判断されるケースが多発します。
4 証明できるのは“建築一式工事許可業者”
建築一式工事の許可を持つ企業(元請・下請いずれも可)が発行する 在籍証明書や工事経歴書 は正式な裏付けとして認められます。反対に、許可を保有しない企業や個人事業の下請活動では、証明力が大幅に低下し、自社だけで完結させることは困難です。
5 過去勤務先の廃業・協力拒否という壁
経験期間の一部でも 退職・転籍先 が廃業していたり、証明書作成に応じてくれなかったりすると、10年を連続で示せません。役所は「就労証明書の連続性」を重視するため、1年でも空白があると再度計算し直し となります。
6 10年実務経験を証明するための具体策
- 許可業者に在籍していた期間 を中心に証明書を取得
- 契約書・注文書・請求書・出来高明細など 原本または写し を可能な限り整理
- 下請ポジションであっても、自社が一次下請として元請と直接契約した工事 を優先的に提示
- 廃業企業の場合は、代表者の署名入り「在籍証明書」+公共工事入札結果の写し 等、二重で立証する
7 まとめ
建築一式工事の専任技術者が 自社だけで10年の実務経験を証明できない最大の理由 は、
- 企画・調整型業務中心で 施工実績の名義が自社に残りづらい
- 許可のない元勤務先では 証明書の公的信用が低い
という二点に集約されます。
今後許可取得を目指す企業・技術者は、建築一式工事許可業者での施工実績を早めに整理 し、証明書発行の可否を確認しておくことが重要です。
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