建設業許可の申請では、技術者要件や財産要件とあわせて、健康保険等の加入状況が確認されます。
ここでいう「健康保険等」とは、建設業分野で社会保険と呼ばれる制度のうち、事業者が加入義務を負うかどうかが問題となる保険を指します。

現在の建設業許可制度では、社会保険の加入状況は単なる参考事項ではなく、許可・更新時に確認される重要な項目となっています。


健康保険等とは何を指すのか

建設業許可で確認される健康保険等とは、次の3つです。

・健康保険
・厚生年金保険
・雇用保険

これらはいずれも、一定の条件を満たす場合に、事業者が加入または届出を行う必要がある保険です。
許可申請では、加入義務があるにもかかわらず未加入となっていないかが確認されます。


社会保険の加入状況が確認される理由

建設業は、下請構造が重層化しやすく、労働条件が不透明になりやすい業種とされています。
そのため、社会保険に未加入の事業者が存在すると、労働者の医療や年金といった生活基盤が十分に確保されないおそれがあります。

また、社会保険に適正に加入している事業者ほど、法定福利費の負担により価格競争で不利になるという問題も指摘されてきました。
こうした背景から、建設業界全体として社会保険未加入対策が進められ、許可制度においても加入状況の確認が位置付けられています。


許可要件としての位置づけ

建設業許可における社会保険の加入状況は、2020年10月1日以降、許可・更新時に要件として確認される仕組みとなっています。

これは、「すべての事業者が一律に同じ保険に加入しなければならない」という意味ではありません。
重要なのは、自社が加入義務のある保険について、適切に加入または届出を行っているかという点です。


加入義務があるかどうかの判断

社会保険の加入義務は、事業形態や雇用の実態によって異なります。

たとえば、

・法人の場合は、原則として健康保険・厚生年金保険が強制適用
・個人事業主の場合は、常時使用する従業員の有無や人数によって判断
・雇用保険は、労働者を雇用する実態があるかどうかで判断

といった整理になります。

そのため、許可申請では「加入しているかどうか」だけでなく、加入義務の有無 → 義務がある場合は適切に加入しているか
という順序で確認が行われます。


未加入の場合の考え方

加入義務がない事業形態であれば、社会保険に加入していないことだけを理由に、直ちに問題となるわけではありません。
一方で、加入義務があるにもかかわらず未加入の場合には、是正を求められることがあります。

この場合、申請自体が直ちに不許可となるとは限りませんが、加入や手続を行ったうえでの申請対応が求められるのが一般的です。


実務上の注意点

実務で注意したいのは、実態と書類のズレです。

・一人親方と従業員の区別が曖昧になっている
・法人化後も個人事業時代の保険関係のままになっている
・短期雇用や家族従業員の扱いが整理されていない

こうした点は、許可申請の際に確認対象となることがあります。
事前に事業形態や雇用状況を整理し、保険制度との関係を確認しておくことが重要です。


まとめ

建設業許可における健康保険等の加入状況とは、社会保険について、加入義務の有無に応じた適切な対応がなされているかを確認する制度です。

未加入であること自体が問題となるのではなく、加入義務があるかどうか、義務がある場合に正しく加入しているかが判断のポイントとなります。

円滑な許可申請のためには、事前に自社の状況を整理しておくことが重要です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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