許可の区分には①「国土交通大臣許可」「都道府県知事許可」

「一般建設業許可」「特定建設業許可」があります。

①「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」の違い

2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業しようとする場合には、「国土交通大臣許可」を、1つの都道府県のみに営業所を設けて営業する場合は、当該営業所の所在地を管轄する「都道府県知事許可」を受ける必要があります。

なお、営業所とは、実質的に建設業に関与する本店、支店、常時請負契約を締結する事務所を指します。

例えば、愛知県内のみに複数の営業所があっても愛知県知事の許可で構いません。一方、東京都内に本店、愛知県に支店がある場合は大臣許可が必要です。

大臣許可の申請は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、主たる営業所の所在地を管轄する国土交通省地方整備局長等に行います。

知事許可を大臣許可に、大臣許可を知事許可に換えることを「許可換え新規」の申請といいます。

知事許可を大臣許可に換えるには、建設業法上の営業所が2つ以上の都道府県にあることが必要であるとともに、許可要件のうち①「専任技術者」を各営業所に配置しなければなりません。

また、各営業所の代表者(支店長、営業所長など)は契約権限などが②委任されていること、③欠格要件に該当していないこと、

④常勤であることが必要です。

さらに、⑤財産的基礎または金銭的信用要件も再度チェックされます。

②「一般建設業許可」と「特定建設業許可」

「一般建設業許可」は、軽微な工事だけを行う場合を除いて、元請業者・下請業者を問わず建設業を営む者は取得しなければなりません。

「特定建設業許可」は、発注者から直接請負った工事について、建築一式工事では、7,000万円(消費税込み)以上、その他の工事では4,500万円(消費税込み)以上の工事を下請業者に発注する建設業者が取得しなければなりません。

「一般建設業許可」「特定建設業許可」の区別は、元請業者として工事を請負った場合の下請業者に出せる金額の大小によって生じます。

下請業者として工事を請負った場合、一般建設業許可業者でも再下請に出す場合の金額の制限はありません。また、元請工事の場合は、発注者からの請負金額に制限はありません。

その工事に関連して、下請業者に出す金額が上記7,000万円(消費税込み)以上、その他の工事では4,500万円(消費税込み)以上の工事金額以上になる場合は、「特定建設業許可」が必要となります。この際の金額は、下請業者1社についてではなく、その工事1件について下請業者に発注した金額の合計を指します。

「特定建設業許可」は、下請業者の保護や工事のより適切な施工の確保のため設けられている制度で、一般建設業許可業者に比べて多くの規制が強化されています。

例えば、営業所ごとに置く「専任技術者」「財産的基礎」の許可要件が格段に厳しくなっています。

また、土木、建築、管、鋼構造物、舗装、電気、造園の7業種については指定建設業とされ、「専任技術者」は、さらに高度な資格などの取得者でなければ認められません。

さらに、「一般建設業許可」「特定建設業許可」の違いとして、①民間工事でも特定建設業許可業者は施工体制台帳と施工体系図を工事現場ごとに作成しなければならないこと、②下請代金の支払期日や支払い方法についての規制があること、③下請業者の労賃不払いに対する立替え払いをしなければならないことです。