働き方改革法とは

建設業は、他の業種に比べて、業務の性質上、作業の進捗状況などに応じて、労働者が就業している時間が、長時間化することが避けられません。また、とくに中小企業で建設業を営んでいる場合には、請負形式で建設を行っているケースも多く、注文主が指定する工期に合わせて、計画的に建設業を進めていかなければならず、労働者の休日を機械的に決定することが難しい状況にあります。

「働き方改革実行計画」と「工程表」

「働き方改革実行計画」は、働き方改革全体に関する計画として、2017年に決定された働き方改革の全体像に関する指針です。

建設業においては、働き方改革の一般的な施行日から5年間(2024年まで)は、罰則付きの時間外労働の限度時間に関する規制の適用が猶予されること、そして5年後の適用に向けて、段階的に労働時間を短縮するよう取り組むことが求められています。

また、「工程表」は、働き方改革におけるそれぞれの事項について、2027年度以降までを見越して、時系列で指標を示しています。具体的には、

・働き方改革施行後、5年を経た後に、罰則付き時間外労働の限度時間に関する規制を適用する

・復旧・復興に関わる建設については、1か月100時間未満、2か月から6か月の間の平均時間を80時間以内に抑えなければならないという規制は適用しない

・時間外労働の限度時間外の長時間労働の是正に向けた規制についても、将来的には建設業に適用する規定を設けていく

・請負形式で行われる建設業を中心に、発注者の理解・協力を得ながら、労働時間の短縮に向けた取り組みを段階的に推進する

建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン

長時間労働の是正に向けた取り組み

①適正な工期設定・施工時期の平準化

・休日の確保(週休2日)

・機材などの準備期間、現場の片づけの時間の考慮

・降雨・降雪などの作業不能日数の考慮

・工期のダンピングの防止、工期内での工事完了が困難な場合の工期の適切な変更

②必要経費へのしわ寄せ防止

・社会保険の法定福利などを意見書などに明示

・適正な請負代金による請負契約の締結

③生産性の向上

・3次元モデルによる設計情報などの蓄積

・フロントローディングの積極活用

④下請契約における取り組み

・日給制の技能労働者などの処遇の考慮

・一人親方における長時間労働の是正や週休2日の確保

⑤適正な工期設定のための発注者支援の活用

・外部機関(コンストラクション・マネジメント企業等)の活用

「建設業働き方改革加速化プログラム」について

①長時間労働の是正

・週休2日制の導入の後押し

・発注者の特性をふまえた工期の適正な設定の推進

②給与・社会保険に関する取り組み

・技能・経験に応じた給与の実現

・社会保険加入のスタンダード化

③生産性向上に関する取り組み

・生産性向上に取り組む建設企業の後押し

・仕事の効率化

・人材・機材などの効率的な活用の促進

建設業界の取組

建設業における働き方改革として、時間外労働に関する罰則付きの限度時間への取り組みは特に重要であり、2024年度からの適用に向けて、入念に準備していく必要があります。

他方で、働き方改革には、勤務時間インターバル制度の促進化や、パートタイム労働者や派遣労働者に対する公正な待遇の確保など、重要な改正が含まれています。そして、これらの改正は基本的には建設業においても適用されるため、時間外労働に関する限度時間以外にも、様々な事項に対する取り組みが必要であることを認識しておく必要があります。