建設工事請負契約の締結にあたって利用される契約約款として以下があります。

また、民法改正に伴う標準請負約款の改正内容を見ていきます。

国土交通省中央建設業審査会による契約約款

・公共工事標準請負契約約款

・民間工事標準請負契約約款(甲)・(乙)

・建設工事標準下請契約約款

民間工事に用いるために作成された契約約款

・民間(旧四国)連合協定工事請負契約約款

建設工事請負契約の締結にあたって

契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結をしなければなりません(建設業法第18条)。

また、契約の締結に際して書面で記載しなければならない15の項目を定めています(建設業法19条)。

建設業法が建設工事請負契約の締結にあたって要請しているこれらの趣旨を踏まえたのものが、

・公共工事標準請負契約約款

・民間工事標準請負契約約款(甲)・(乙)

・建設工事標準下請契約約款標準請負契約約款

です。

令和2年4月に施行された改正民法に伴う請負契約約款

譲渡制限特約

改正民法において、譲渡制限特約が付されていても、債権の譲渡の効力は妨げられないとされました。

①標準約款では、譲渡制限特約は維持した上で、

・公共約款については、前払い、部分払い等によってもなお工事の施工に必要な資金が不足する場合に

 発注者は譲渡の承諾をしなければならないとする条文

・民間約款については、資金調達目的の場合には譲渡を認めることとする条文

 を選択して使用できることとされています。

②併せて、譲渡制限特約に違反した場合や資金調達目的で譲渡したときにその資金を当該工事の施工以外に使用した場合に、

 契約を解除できるとされています。

契約不適合責任

改正民法において、「瑕疵」が「契約の内容に適合しないもの」と文言が改められ、その場合の責任として履行の追完と代金の減額請求が規定されたことを踏まえ、

・標準契約も同様に変更されています。

契約の解除

改正民法において、瑕疵に関する建物・土地に係る契約解除の制限規定が削除されたことや

双方の責めに帰すべき事由でないときであっても契約を解除できることとされたことを踏まえ、

・催告解除と無催告解除を整理した上で契約解除が再規定さています。

契約不適合責任の担保期間

木造等の工作物又は地盤や石造、コンクリート造等の工作物といった材質の違いによる担保期間は民法上廃止されたことを踏まえ、

・標準約款において契約不適合の責任期間を引渡しから2年とし、

 設備機器等についてはその性質から1年とされています。

引渡しから2年(設備機器等1年)の機関内に通知をすれば、通知から1年間は当該期間をすぎても請求は可能です。