適正な工期の設定

注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないとされています(建設業法第19条の5)。

働き方改革関連法による改正労働基準法に基づき、令和6年4月1日から、建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用されることとされました。

適正な工期の設定等について発注者の取組が必要とされています。

工期に関する基準

元請負人と下請負人は、建設工事の請負契約の締結に当たり適切な工期を設定し、しっかりした工程管理のもとで、できる限り工期に変更が生じないようお互いに努力する必要があります。

・しかしながら、工事現場の状況により、やむを得ず工期を変更することが必要となることがあります。

このような場合には、契約に内容を書面(工期変更に伴う変更契約書)に記載し、署名又は記名押印して、相互に交付しなければならないとされています(建設業法第19条第2項)。

工期の変更には、変更契約を締結するが必要

・工期の変更に関する変更契約の締結に際しても、他の変更契約の場合同様、元請負人は、速やかに当該変更に係る工期や費用等について、下請負人と十分に協議を行う必要があります。

・また、合理的な理由もなく元請負人の一方的な都合により下請負人の申出に応じず、必要な変更契約の締結を行わない場合には建設業法違反となります。

下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、工期の変更になり下請工事の費用が増加したとき

元請負人の施工管理が十分に行われなかったため、下請負人の工期を短縮せざるを得ず、労働者を集中的に配置した等の理由により、下請負人の費用が増加した場合には、下請負人の責めに帰すべき理由がなければ、その増加した費用については元請負人が負担する必要があります。

工期着手後の工期変更、追加工事の変更後の工期が確定できないとき

下請工事に着手した後に工期が変更になった場合は、契約変更等の手続きは、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく行うことになっています。

・工期を変更する必要があると認めたが、変更後の工期が直ちに確定しない場合、以下の事項に確認を行い、変更後の工期が確定した時点で契約変更の手続を行うことになります。

①工期の変更が契約変更等の対象になること

②契約変更などを行う時期を明確に記載した書面を残すこと